難病「脊髄(せきずい)性筋萎縮症(SMA)」の治療薬

2015.11.12



 遺伝子の変異で乳児の筋力が低下する難病「脊髄(せきずい)性筋萎縮症(SMA)」の治療薬が有効かを確かめる国際的な治験で、国内からの参加者がゼロの状態が続いている。国内患者の参加がなければ、海外で有効性が確かめられても承認が遅れるため、国内の研究機関が治験への参加を呼びかけている。

 ◇国内で承認遅れの恐れ…米企業が薬開発Begin forwarded message:

 SMAは特定の遺伝子が働かず、全身の筋肉が萎縮する難病で、国内の患者は推計1000〜1500人。首のすわりが遅く、体が極端に柔らかいため支えなしには座れないことなどが特徴。重症度や発症時期によって1〜4型に分類される。最も重い1型は生後0〜6カ月で発症し、人工呼吸器を付けないと95%は1歳半までに亡くなるとされる。

 新たに治験を始めるのは、遺伝子の働きを変える薬を開発した米国のベンチャー企業。生後7カ月までに遺伝子検査で1型SMAと診断を受けた乳児を対象に、腰部から薬を注射して効果を確かめる。米など数カ国が参加予定で、日本では東京女子医大遺伝子医療センターと兵庫医大病院が実施機関として準備を進める。

治験への参加期限が来年1月に迫り、関係者は関連学会でチラシを配るなどして周知を図っているが、現時点の参加患者はゼロ。患者登録システムがあるものの「生後7カ月まで」という条件に該当する患者はいないという。背景には、SMAの赤ちゃんは意識がはっきりしており、原因不明のまま経過観察とされるなど、一般の小児科医の「見落とし」があると考えられる。

東京女子医大の斎藤加代子教授は「医師の認識が追いついていない。治験開始という小さな変化でも患者には大きな希望。疑わしい場合は早く遺伝子診断を受けてほしい」と語る。【阿部周一】


 ◇乳児期に発症する脊髄性筋萎縮症の主な特徴◇

・生後0〜6カ月(平均1カ月)で発症

・3人に1人は妊娠中の胎動が減る

・あおむけに寝かせると、ひざ頭が真上を向かず、手足がべたっと床につく

・あおむけの状態から引き起こしても、頭が後ろに垂れ下がる

・水平に抱こうとすると、頭と足が「逆Uの字」に垂れ下がる

・呼吸困難に陥るなど急激に症状が悪化する