三笠市、市立3病院統合案*岩見沢・美唄と*「中間地点の三笠に」*提案時期未定 実現は困難

2015.10.27

三笠市、市立3病院統合案*岩見沢・美唄と*「中間地点の三笠に」*提案時期未定 実現は困難
2015.10.23 北海道新聞 


 【三笠】経営が悪化している市立三笠総合病院について、三笠市が同病院と岩見沢市立総合病院、市立美唄病院を統合した新たな病院を、隣接する3市の中間地点に建設する「試案」を独自にまとめていたことが22日、分かった。

統合で医師を確保し、患者の減少を食い止める狙い。

複数の自治体間で公立病院が統合すれば道内初のケースだが、試案は岩見沢、美唄の両市立病院の機能移転や両市の財政負担などが前提となっており、実現は極めて難しい。(堀田昭一)

 三笠市は「試案は、あくまで地域医療の将来を考えるたたき台」(同市幹部)とする。

しかし試案が正式に提案されれば岩見沢、美唄両市が反発するのは必至で、提案の場や時期すら決まっていない。

それでも三笠市が試案をまとめた背景には、市の人口減少などで「単独での病院存続は今後、さらに厳しくなる」(同)との危機感がある。

 試案では、新病院は延べ5万3千平方メートルで市立三笠総合病院の4倍。病床数は計662床で急性期と慢性期、リハビリや在宅治療に向けた回復期を設ける

現在の3病院の合計より119床減らす。

設置場所は三笠市内を想定。現在の3病院の機能を新病院に集約するイメージだ。事業費は260億円で人口に応じ、岩見沢市187億円、美唄市52億円、三笠市21億円を負担するとした。開業は3市で病院統合計画を策定後、「最短で5年」とした。

 三笠市は、市立三笠総合病院について「本館は1964年建設で一部は81年の建築基準法に基づく新耐震基準を満たしておらず、早急な耐震工事か建て替えが必要」としている。2013年に同病院で起きた精神神経科の医師刺殺事件の余波などで医師確保にも苦戦しており、今年9月末で同科の入院病棟を事実上廃止せざるを得なくなった。

 医師不足に伴う患者数の減少などで、14年度は経常収支で2億3400万円の経常赤字を計上。同年度末の累積欠損額は20億500万円に拡大している。

 今年3月の定例市議会では、同市の右田敏総務福祉部長が、「市民の安心・安全を守るため市立病院は不可欠」と答弁。ある市幹部は「病院がないマチに人は住まない」と話し、試案を元にした議論を望んでいる。

 3市は今年9月、地域医療の将来を考える「検討会」を合同で設置。西城賢策三笠市長は今月22日、取材に「(試案を議論するために)検討会が設けられたわけではない」と説明しており、どのような形で岩見沢、美唄両市に試案を打診するか、今後、慎重に対応を検討すると見られる。

 取材に対し、松野哲岩見沢市長は「今後も岩見沢市立病院を中心に地域医療の充実を図る」と述べ、高橋幹夫美唄市長は「仮に統合ありきの案が出るなら乗れない」と話している。

 市立三笠総合病院(三笠市宮本町) 1964年開設。延べ1万2780平方メートル。一般病床91床、療養病床43床、精神病床65床(現在休床)。診療科目は12科目。

 岩見沢市立総合病院(岩見沢市9西7) 1927年開設。延べ3万927平方メートル。一般病床365床、精神病床115床、感染病床4床。診療科目は15科目。

 市立美唄病院 (美唄市西2北1) 1943年開設。延べ1万2178平方メートル。一般病床53床、療養病床45床。診療科目は7科目。

*「マチ崩壊」危機感強く

 <解説>三笠市が三笠、岩見沢、美唄の3市立病院を統合する「試案」をまとめたのは、「病院がなくなればマチが崩壊しかねない」との危機感の表れだ。国が医療費の削減方針を示し、道が来夏までの「地域医療構想」の策定作業を進める中、病院統合という思い切った提案で、事態打開を図る思惑がある。

 三笠市の調査では、昨年3月の1カ月間、国民健康保険加入者のうち6割超が市外の医療機関を受診している。同市幹部は「医師も患者も大きくて新しい病院を選ぶ。『試案』は三笠市が生き残るために苦悩した結果だ」と説明する。

 政府は今年6月、全国の病床を2013年の134万床から25年に119万床とする目標を発表。道は各圏域ごとに、将来必要な病床数などをまとめる地域医療構想の策定作業を進めている。このうち南空知で25年に必要とされる病床数について、道は13年度比19・5%減と推計している。

 同市は「(試案を元に)話し合いの突破口が生まれれば」と期待するが、美唄市は昨年3月、市立病院を現在地で数年内に建て替える地域医療再構築プランを策定したばかりで、「(市民に)統合なんて言えるわけがない」(同市幹部)。岩見沢市立総合病院の場合、そもそも安定した黒字経営が続いている状況だ。

 三笠市議の一人は「将来的に病院経営が厳しくなるのは岩見沢も美唄も同じ」と指摘する。「試案」への賛否とは別に、南空知の医療体制が今後、厳しさを増すのは避けられない。自治体の枠を超えた早急な議論が求められている。(堀田昭一)