道は、試算を目安にして医療体制の将来像を地域ごとに検討し16年に構想をまとめる

2015.09.25

病床 10年後12%削減 道試算13年比 地域医療構想来夏にも=北海道
2015.09.24 読売新聞


 道は、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年時点に必要な病院のベッド(病床)数を13年比で12・6%減とする試算を公表した。試算は、人口減少や高齢化に対応した医療体制を示す地域医療構想の策定に向けて算出した。道は、試算を目安にして医療体制の将来像を地域ごとに検討してもらい、16年夏頃にも構想をまとめる方針だ。

 公表された25年の必要病床数は、国のデータを基に将来の人口減少やレセプト(診療報酬明細書)の内容を加味して試算。地域医療の単位として道が定める道内全21地域の2次医療圏ごとに公表した。

 それによると、道全体の13年時点の病床数8万3556床は、6万8509~7万3070床にする必要があり、削減幅が最も小さい場合でも13年比で12・6%減となる。

 これを2次医療圏別でみると、北渡島檜山(八雲、長万部、今金、せたな4町)が13年比45・9%減と削減幅が最大で、次いで南檜山(江差、上ノ国、厚沢部、乙部、奥尻5町)が同45・6%減となった。

 人口減少が緩やかな札幌(札幌、石狩、江別、北広島、恵庭、千歳6市、当別町、新篠津村)は1・5%減で、東胆振(苫小牧市、白老、厚真、安平、むかわ4町)は0・7%増と21地域で唯一、必要な病床数が13年を上回った。

 25年の必要病床数を厚生労働省が定めた四つの機能別の割合でみると、一般的な手術や救急に対応する「急性期」が30%と、現在(14年)の49・1%に比べて大幅に減らさなければならない一方、リハビリや退院支援に力を入れる「回復期」は27・8%と、現在の6・8%から大きく増やすことが求められる。

 重症患者の集中治療などを担う「高度急性期」、長期療養を担う「慢性期」の需要割合は現在と25年でほとんど変わらなかった。

 ただ、各地域では、病床数削減に伴い充実を求められる介護・在宅医療サービスが確実に提供できるかどうか不安の声が上がったり、既存病院が経営悪化するのではないかとの懸念が出たりしている。

 このため道は、市町村や医療、福祉関係者で構成する2次医療圏ごとの調整会議を開いて試算を基に病床数を検討してもらい、地域の実情を構想に反映させるという。

 道地域医療課は「道内市町村の先進的な取り組みを紹介したり、国の基金を活用したりして構想の実現を支援したい」としている。

 ◆介護施設に「宿泊」併設 足寄

 人口減少や高齢化に伴う医療需要の変化に対し、積極的に取り組む道内自治体も現れている。

 足寄町は昨年度、高齢者向け複合施設「むすびれっじ」を開業。介護施設に簡易ホテルのような宿泊機能のある施設を併設し、病院を退院しても自宅で生活する自信がない独居高齢者などが一時的に利用できるように工夫した。同町福祉課は、「病院から自宅への受け皿を充実すれば、過剰な病床の削減にもつながる」と説明する。

 鹿追町では町立総合病院の隣接地域で高齢者専用住宅18戸を整備。住宅と病院を屋根付きの通路で結び、在宅生活を送りやすいようにした。

 釧路町は、1階を高齢者専用住宅として使う3階建て町営住宅2棟を設置。町内会活動で住民同士の交流を促し、電球の取り換えなど、住民が支え合って暮らすことで高齢者の在宅生活を支援している。


 〈地域医療構想〉

 昨年6月に成立した医療・介護総合推進法に基づき、都道府県が医療需要を推計し、2025年時点での病床の必要量を定める。病床の機能を、高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期の四つに分類してそれぞれの必要数を算出し、実現に向けた設備計画や施策を盛り込む。構想の実施にあたっては、病棟の機能転換に必要な改築費などを国が支援するとしている。