富良野圏域 25年道推計*53病床の削減必要

2015.09.12

富良野圏域 25年道推計*53病床の削減必要*調整会議が初会合*委員構成めぐり紛糾*具体的な議論進まず
2015.09.11 北海道新聞


 【富良野】地域の医療機関の病床数のあり方を議論する富良野圏域地域医療構想調整会議の初会合が9日、市内で開かれた。事務局の道は2025年の富良野地方5市町村の必要病床数の推計値が計486床で、13年調査時点の同539床に比べて53床の削減などが必要になるとの見通しを示した。一方、会議の委員構成をめぐり一部の出席者が反発。道が次回までに委員を追加委嘱することになり、正副議長決定など具体的な論議は進まなかった。(横井正浩)

 同会議は地域医療構想の策定に向け、2次医療圏ごとに設置。初会合では、道が医療関係団体の代表や市町村長、主要病院の院長ら15人を委員に委嘱した。病院利用者の立場の委員は富良野市国民健康保険運営協議会会長だけで、中富良野町の木佐剛三町長が「患者の声を聞かないで10年後の病床数は決められない」と疑義を示し、会合はいきなり中断する事態に陥った。

 結局、道が「地域バランスを考慮して病院の利用者代表を委員に加える。選考は各市町村に相談する」などと回答して再開。当初予定の正副議長選出や、専門部会の設置、今後の日程決定などの具体的な論議に入れないまま、道が推計値の説明だけを行った。

 道は25年の必要病床数の推計値486の内訳を高度急性期25、急性期120、回復期176、慢性期165と報告。担当者は「論議の基礎となる数字で強制的に削減する趣旨ではない」とする一方、「厚生労働省令に基づく試算であり、この数字を了承してほしい」とも述べた。

 同会議は来年3月までに病床数の地域案をまとめる予定だったが、初会合が異例の展開となったことから、論議の行方は流動的だ。

*地域押しつけに反発*5市町村で認識に差も

 〈解説〉富良野圏域地域医療構想調整会議の初会合が委員構成をめぐって一時紛糾する異例の事態となったのは、医師拡充などを十分検討せずに、厚生労働省の病床削減策を地域に押しつけようとする道の姿勢への反発がある。富良野市が自治体病院を持たない一方、上富良野、中富良野両町が一般会計から赤字補填(てん)をしてまで、町立病院を維持している富良野地方ならではの事情も影響しているという見方もある。

 同会議は地域全体の病床数の削減幅を決め、その後医療機関ごとの削減数を調整する場とされる。人口減への対処とはいえ、各市町村には、住民の健康を守るため、病院、病床数の確保は死活問題と映る。

 初会合では年間約1億5千万円を一般会計から持ち出している上富良野町が「赤字補填をしても、町立病院を守るという住民合意はできている」と明言したほどだ。一方、富良野市には地域医療の拠点である民間の富良野協会病院があり、市は病院運営を直接担ってはいない。これが、市と周辺の町との医療の考え方の違いを生んでいるとの声が自治体関係者の間で強い。

 富良野協会病院の周産期医療充実をめぐり昨年度、周辺町村に産婦人科を持つ病院がないため、2次医療圏の5市町村として対応。ベッドを購入したが「ベッドはどの病院でも必要。2次医療圏で担うべきなのか」との不満が周辺の町から出た。自治体関係者は「2次医療圏のあり方をめぐって、5市町村の認識は完全には一致していない」と指摘する。

 地元の病院は当然必要だろうが、旭川や札幌の病院への入院に頼らないよう、拠点病院の拡充も欠かせない。利用者側委員の追加委嘱はせっかくの機会であり、自治体などの利害、思惑を超えて徹底論議をしてみてはどうだろうか。事務局の道も調整役として汗を流すことが求められる。(横井正浩)