救急車 利用適正に*呼ぶ目安 日ごろから把握を

2015.09.10

救急車 利用適正に*呼ぶ目安 日ごろから把握を
2015.09.09 北海道新聞


 9月9日は「救急の日」。急な病気、けがの時に頼る救急車について、タクシー代わりや軽症なのに利用したりするケースが問題になっている。一方で、ためらわずに救急車を呼ばなくてはならない状況もある。救急の日をきっかけに、救急車の適正な利用のほか、いざという時の心肺蘇生法など救急医療への理解を高めよう。(桜井則彦(さくらいのりひこ))

《1》入院予定の人が、身支度が済んだので病院に行くのに救急車を使った。

《2》足腰が悪く、家のすぐそばまでしか歩けない高齢者が、体調を崩し救急車を呼んだ。

《3》突き指、打撲したので救急車を使った。

 実際に道内で報告があった例だが、救急車を利用する適正なケースだろうか。

 2013年の全道における救急搬送人数は21万1634人で近年は右肩上がり。例年、約半数は入院の必要がない軽症者という。物がのどに詰まった場合など、緊急性はあったが、入院しなくて済んだ例もあり、軽症者すべてが不適切とは言えない。ただ《1》と《3》のような時は、救急車を呼ぶ理由としてルール違反だ。

 不適切な救急車利用は、救急搬送を必要する人に到着時間の遅れなどの影響を及ぼしかねない。道や医師会は、激しい頭痛、広範囲のやけどなど救急車を呼ぶ目安の症状を示し=図=、適正な利用を訴えている。

 判断が難しいのは《2》のようなケース。最近では特に独居高齢者や、高齢者のみの世帯からの救急要請が増えているという。高齢者や、寝たきりで動けない人など、緊急性を伴わなくとも、救急車に頼らざるを得ない場合がある。道地域医療課は「高齢者や持病がある人は、かかりつけ医、治療、服薬の状況など医療情報が救急隊や医師にわかるよう、メモなどにまとめて」と呼び掛けている。

 一方、単なる体調不良と自分で判断し、救急車を呼ばず、心筋梗塞や脳卒中などの治療が遅れてしまうこともある。ゆきざさ循環器内科(江別市)の佐藤文彦(さとうふみひこ)院長は「めまいやふらつき、不整脈など脳や心臓の病気の可能性がある時は、我慢せず、一刻も早く救急車を呼んでほしい」と強調する。

*心停止など*胸骨圧迫、AEDも有効

 倒れている傷病者がいたら、肩をたたきながら耳元で声を掛け、意識を確認する。意識がなく、胸の動きを見て呼吸がない時や、しゃくり上げるような異常な呼吸の時は、まず「胸骨圧迫」を行う。胸の中央に両手を重ね、体重をかけて垂直に押し下げる動きを30回続ける。胸骨圧迫の後、「人工呼吸」で2回息を吹き込む。この動作を繰り返す。日本赤十字社北海道支部の竹中正彦(たけなかまさひこ)さんは「胸部圧迫は手だけで押さないように腕を曲げず、強めに押して」と助言する。

 近くに自動体外式除細動器(AED)があったら、迷わず活用しよう。AEDは電気ショックで心臓の回復を促す機器で、心電図を解析し、電気ショックの必要性がなければ作動しない仕組みだ。まず電源を入れ、電極パッドを傷病者の左脇腹と右の鎖骨の下に貼る。AEDの音声指示に従い、ボタンを押して電気ショックを実施する。

 AEDを使わないと、心停止から1分ごとに生存して退院する確率が7~10%下がり、5分たつと約5割に低下するとされる。「脳への障害を食い止めるためにも、ためらわず心肺蘇生法とAEDの利用を」(竹中さん)としている。

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 札幌市は、救急車を呼ぶべきかなどの救急医療相談ができる24時間体制の「救急安心センターさっぽろ」を運営。「#7119」に電話すると看護師が対応してくれる。札幌市のほか、石狩市、石狩管内新篠津(しんしのつ)村、空知管内栗山(くりやま)町が対象地域となっている。

*ためらわず救急車を呼んでほしい主な症状

■大人(15歳以上)

<頭>

 突然の激しい頭痛

 突然の高熱

 支えなしで立てないぐらいふらつく

<顔>

 顔半分が動きにくい、またはしびれる

 笑うと口や顔の片方がゆがむ

 ろれつが回りにくい

 視野が欠ける

<胸・背中>

 突然の激痛

 急な息切れや呼吸困難

 胸が圧迫されるような痛みが2~3分続く

 痛む場所が移動する

<腹>

 突然の激しい腹痛

 激しい腹痛が続く

 吐血や下血がある

<手・足>

 突然のしびれ

 突然、片方の腕や足に力が入らなくなる

■小児(15歳未満)

・意識がない            ・乳児のようすがおかしい

・ぐったりしている         ・大量の出血を伴うけが

・のどに物を詰まらせ、呼吸が苦しい ・広範囲のやけど

<頭>

 頭を痛がってけいれんがある

 頭を強くぶつけて出血が止まらない

<顔>

 唇の色が紫色

<胸>

 激しいせきやゼーゼーしていて呼吸が苦しそう

<腹>

 激しい下痢や嘔吐で水分が取れず意識がはっきりしない

 嘔吐が止まらない

 血便

<手・足>

 手足が硬直している