,15岩手県議選 問う探る 3学長に聞く

2015.09.08

’15岩手県議選 問う探る 3学長に聞く/(下)岩手医大 小川彰氏/遠隔医療 整備に支援を/-岩手県の地域医療の課題と改善策は何ですか。/<県土広さネック>/「県土が広く人口密度が極めて低いことを前提
2015.09.06 河北新報



(下)岩手医大 小川彰氏/遠隔医療 整備に支援を

 -岩手県の地域医療の課題と改善策は何ですか。

<県土広さネック>

 「県土が広く人口密度が極めて低いことを前提とした医療体制が求められる。対面診療は理想だが、各診療科の専門医は十分そろっていない。岩手医大から医師を派遣する場合、往復の移動だけで6時間かかる場所があり、効率が悪い。沿岸でも山間地でも、専門医の診察を受けることができるシステムを考えなければならない」

 「切り札は遠隔医療。テレビ電話や電子カルテを利用し、岩手医大の専門医が現地の患者を診る。このシステムが確立すれば、離島も含めた全国の過疎地医療のモデルになる。岩手医大は東日本大震災後、遠隔医療の検証研究に取り組んでいる。安全性は全く問題ない。県内全域でシステム化を図る場合、ある程度の機器を整備しないとできない。行政の支援が不可欠だ」

 -県は医師不足解消に向け、岩手医大に地元勤務を義務付ける代わりに奨学金を出す地域枠制度を設けています。

 「県は地域枠医師にすぐに公的医療機関で働いてほしいと考えていると思う。しかし、十分な技量が備わってなければうまくいかない。最新の知識と技術を身に付けながら地域医療に貢献する仕組みが欠かせない。その点は県と合意している。来年は最初の地域枠医師が誕生する。地域医療の充実につなげてほしい」

 「現代の医療はチーム医療であり、医師だけ足りても駄目。看護師や薬剤師、理学療法士などさまざまな人材が集わないと、いい医療は提供できない。岩手医大は歯学部や薬学部を設け、看護学部の新設にも取り組んでいる。県や市町村もチーム医療について考えてもらいたい」

 -震災から4年半。被災地の医療に変化は。

<仕事に配慮必要>

 「生活習慣病や心のケアが必要な人が年々増えている。特に心のケアは最重要分野であり、一番大事なのはなりわいだ。仕事がないと気持ちが沈む。医療と教育が復興すれば被災地に人が戻るという意見があるが、それは逆。仕事がある所に人々が集い、新たな町ができる。子どもが多いのか、高齢者が多いのかによって、医療や教育のニーズは変わる。被災地でまちづくりが進んでいないのは、国を含めた行政の責任だと思う」

 「震災では避難所の生活が長く続いた。その後、仮設住宅に移り、心の面の課題が出た。避難所で共同生活した人が、仮設住宅では部屋に引きこもるようになった。仕事がなく、日々のコミュニケーションが減り、孤独感を募らせた。被災者は人とのつながりを欲している。住環境を整備する上で、単に建物を造るだけでなく、その後のコミュニティーまで考慮した計画にしていくべきだ」<おがわ・あきら>仙台市出身。74年岩手医大卒。脳神経外科医。東北大医学部助教授、岩手医大医学部長などを経て、08年から現職。66歳。【写真】

河北新報社