患者本位の医薬分業ではない」と政府の規制改革会議が厳しい指摘

2015.08.24

患者本位の医薬分業ではない」と政府の規制改革会議が厳しい指摘

「高齢者や車いすの人が医療機関から薬局へ移動するのが困難なケースもあり、患者の視点に立っていない」など、医薬分業の問題点を指摘した政府の規制改革会議の提言を受け、厚生労働省は、大病院の前に集中する「門前薬局」が受け取る調剤報酬を縮小する一方、患者本位の医薬分業の実現に向けて複数の医療機関の処方せんをまとめて扱い、飲み合わせのチェックなどに力を入れる「かかりつけ薬局」への移行を促す診療報酬改定を次期2016年度改定で行う検討を始めた。

 規制改革会議は、①医薬分業の政策については、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の4段階を繰り返すことによって業務を継続的に改善 するPDCAサイクルによる評価を行うべき、②医薬分業を推進する観点から、コストに見合ったサービスを提供すべき、③患者の利便性の観点から、薬局が医療機関から構造上独立していること求めている規制(構造規制)を見直すべき-と指摘。

 これを受け厚労省は

①患者本位の医薬分業の実現に向けて患者にとって身近なところにある「かかりつけ薬局」の機能を明確化するとともに、薬局全体の改革の方向性について検討する

②患者にとってメリットが実感できる「かかりつけ薬局」を増やし、「門前薬局」からの移行を推進するため、地域のチーム医療の一員として活躍する薬局への評価のあり方等について中医協で検討する

、③医薬分業の質を評価できる適切な指標を設定し、定期的な検証を実施しながら医薬分業を推進する、

④「かかりつけ薬局」への移行を進めることに併せて、構造規制に関しては、「経営上の独立性」「患者の自由な薬局選択」を確保した上で、「形式的な参入規制」から「薬局の機能の評価」へ転換。患者本位の医薬分業を実現できるよう中医協で検討する-ことを表明した。

■「かかりつけ薬局」による薬学的管理と調剤報酬見直し

 医薬分業の導入は1956年(昭和31年)と60年近い昔だ。医薬分業にあたって厚労省は、医療機関と薬局に、①経営を別にする、②道を挟むなど分かれて立地することなどを義務づけた。元々は薬を医師と薬剤師が二重チェックするという趣旨だったが、次第に薬価差益を得ようとする医療機関側の「過剰投与」を抑え、年々増加する薬剤費の抑制、引いては医療費の抑制を図ることに力点が置かれるようになった。

 病院と薬局の経営が一体の「院内処方」では医療機関によるいわゆる「薬漬け医療」がやまないことから、厚労省は薬局が医療機関から独立した「院外処方」を普及させるため、調剤薬局の「調剤基本料」を高めに設定するなど、病院など医療機関から独立した方がもうかるよう経済的インセンティブを進めてきた。しかし、院外処方での調剤薬局による服薬指導が形式的で十分行われていない例が目立ち、「サービスの割に調剤報酬を受け取り過ぎている」との批判も多い。また、院内処方に比べて院外処方は、患者の自己負担が多く、「患者の視点に立ってない」との声も多い。

 院外処方、年々医薬分業率は上昇し、2013年度は67.0%にまでアップした。さらに厚労省が医薬分業の旗を振るとともに力を入れてきたのが、「かかりつけ薬局」の普及だ(図1 医薬分業率の年次推移・かかりつけ薬局による薬学的管理)。





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