「分割調剤」を中心に議論を深化――中井薬剤管理官 次期調剤報酬改定に向けて展望

2015.08.22

「分割調剤」を中心に議論を深化――中井薬剤管理官 次期調剤報酬改定に向けて展望
2015.08.21 薬事ニュース 
 



 厚生労働省・保険局医療課の中井清人薬剤管理官は本紙のインタビュー取材に応じ、16年度調剤報酬改定について展望を語った。このうち、検討事項の1つである「分割調剤」の見直しと「リフィル処方せん」の導入に関しては、先の中央社会保険医療協議会の議論における各委員からの指摘も踏まえ、「『リフィル処方せん』は米国などに適した制度であり、日本の医療制度に合った長期服薬への対応策として、基本的には『分割調剤』の議論を深めていく」との見解を提示。また、特定の医療機関からの処方せんを集中的に受ける、いわゆる「門前薬局」の評価見直しにも触れ、「調剤基本料の『特例ルール』のあり方をはじめ、次期改定では相当に厳しくなるだろう」と語った。
■分割調剤の点数設計「初回と2回目以降のバランスが重要」
 中井管理官は本紙に対し、次期改定の大まかな方向性として、▽在宅医療への参画と24時間対応▽処方薬の一元的・継続的管理▽「かかりつけ医」と連携した服薬管理▽後発医薬品の使用促進▽「門前薬局」の評価見直し――に大別。このうち、「かかりつけ医」と連携した服薬管理では、残薬や多剤・重複投薬の減少と「門前薬局」対策を進める観点からも、現行の「分割調剤」制度の見直しに意欲を示した。
 「分割調剤」を巡っては現行、▽長期処方による薬剤の安定保存が困難▽患者が初めて後発医薬品を試して服用――などの場合に限り、処方医の了解を得た上で複数回に分けて調剤する仕組みとなっている。調剤報酬上では分割調剤を実施した2回目以降、「5点」を加算点数として算定できるが、調剤基本料(41点)は算定できない。処方せんの備考欄に分割理由や調剤日数、薬局・薬剤師名などを記載するといった手間もかかり、かつ点数も低いことから、実態としては、ほとんど行われていない。
 一方、14年度改定の議論で厚労省は、特定機能病院や500床以上の地域医療支援病院による長期処方を薬局が受けた場合、処方医に連絡した上で薬剤を分割して調剤し、2回目以降は(患者の住む)地域の薬局が患者の主治医(処方医やその地域の開業医)と連携して、必要な量を調剤する仕組みの試行的導入を提案していた。しかし、日本医師会の委員からの反対意見を受けて、継続審議扱いとなっていた経緯がある。
 次期調剤報酬改定の議論をスタートさせた7月22日の中医協で厚労省は、政府の経済財政諮問会議や規制改革会議がまとめた改革方針に基づき、分割調剤の活用と併せて、一定期間内に繰り返し使える処方せん「リフィル処方せん」の導入を検討課題として提示。会合では診療側委員から、「『リフィル』の検討は時期尚早」「分割調剤の議論に留めるべき」との指摘が続出していた。
 こうした背景を踏まえて中井薬剤管理官は本紙に対し、「『リフィル』には否定的な意見が多かったが、『分割調剤』は無下に否定されたわけではない。中医協の議論を考慮すれば、諸外国の『リフィル』の事例を参考にしながら、日本の医療制度に合った長期服薬の対応策として、『分割調剤』の議論を深めていくのが正しい」と主張。「分割調剤」を中心に議論を進めていく考えを示した上で、今後の論点として「薬局がどのように地域の『かかりつけ医』と連携し、分割状況も含めて情報のフィードバックに繋げていくがポイント。薬局で勝手に分割し、モニタリングを行うのは患者のためにならない」と話す。点数設定の方向性については、「必要最低限のフィーに関する議論はあると思うが、単なる薬局の利益追求に繋がることは、まずあり得ない」とクギを刺した上で、「『門前薬局』対策の観点から、大病院前の薬局で最初に『分割調剤』を受けた患者に、2回目以降は地域の薬局に来局して頂くことになる。初回分だけ点数が高く、2回目以降は損をする仕組みはあり得ない。初回と2回目以降の点数のバランスは、今後の議論の俎上に載るだろう」と解説した。
■調剤基本料「特例」ルールは厳格化へ
 「門前薬局」の評価の見直しに向けては、「政府の関係会議からも指摘を受けている。これまでの議論を踏まえても次期改定に関しては、非常に厳しい内容になるのは明らかだ」との見解を提示。14年度改定では、処方せん枚数と医療機関からの集中率に応じて調剤基本料を25点に据え置く「特例ルール」に対し、「1カ月に4000枚超で集中率70%」という従来の区分に、「1カ月に2500枚超で集中率90%超」との区分を設けて対象幅を拡大した経緯があるが、中井管理官は本紙に「『特例ルール』のあり方も次期改定に向けた議論の俎上に載るだろう。厳しくなるのは間違いない」と語る。
 後発品の使用促進への対応では、20年度末までの早い時期に数量シェア80%以上を目指すとした新たな政府目標を睨み、「まずは『17年半ばに70%以上』という中間目標の達成に向け、55%程度で推移している現状の調剤医療費における後発品の使用割合を踏まえ、要件などを上げていく」と説明。後発品の「銘柄指定処方せん」にも強い問題意識を抱き、「急激に増えているので、何とかしなければいけない」と話した。