日医・今村副会長 薬局の果たすべき役割「まずは在宅」――全国ファーマシーフェアが横浜で開催

2015.08.08

日医・今村副会長 薬局の果たすべき役割「まずは在宅」――全国ファーマシーフェアが横浜で開催
2015.08.07 薬事ニュース


 日本保険薬局協会は7月31日から8月2日にかけて、業界初となる薬局展示会「第1回全国ファーマシーフェア」を横浜市内のパシフィコ横浜で開催した。

日本医師会の今村聡副会長や厚生労働省・医薬食品局の神田裕二局長らの特別講演が行われ、薬局・薬剤師の今後に向けた役割などについて意見が提示された。

このうち日医の今村副会長は、「店頭で簡易な自己採血検査を行う『検体測定室事業』やOTC薬の供給、健康相談への対応など色々な業務が挙げられているが、日医としては、まずは在宅医療で一緒に仕事をして頂きたい」と要請。


厚労省の神田医薬局長は、『かかりつけ薬剤師』の機能発揮に向けて、「『かかりつけ薬局』になるためのマネジメントとして、『担当制』などの勤務体制を確保してはどうか」と提案した。


■日医・今村副会長「薬局は診療報酬以外にも活用を」
 今村副会長は講演で、日医としての薬剤師の役割に対する期待や課題などについて説明した。

団塊の世代が75歳以上に突入する2025年を見据え、現在構築が進められている地域包括ケアシステムに関して、「在宅医療は中心的な役割を果たす」と主張。薬局・薬剤師の今後の方向性として、セルフメディケーションの推進などを示す国の方針を引き合いに出し、「薬局・薬剤師には在宅医療、緩和ケアへの積極的な参画をお願いしたい」と訴えた。
 
在宅医療における薬剤師の代表的な業務としては、▽処方せん調剤▽薬剤の情報提供▽服薬管理・指導・支援▽服薬状況や残薬、副作用の確認▽処方医への情報のフィードバック▽麻薬の供給・管理▽剤形や用法用量、薬剤選択などに関する処方設計支援▽衛生材料の供給▽多職種との情報共有・連携――に大別。

特に中央社会保険医療協議会の議論でも検討課題に載せられている「残薬問題」に関しては、「慢性疾患の患者などには、災害時を想定して2週間ほど余分に処方するケースもある。

残薬の状況を医師に対して言わない患者も少なくない。残薬問題は在宅医療にかかわらず、今後の大きな課題となっており、薬剤師に対する期待も大きい」と解説した。がん治療での緩和ケアの重要性にも言及し、「麻薬の管理・供給は医療機関にとっても大変な業務。薬局・薬剤師に取り組んで頂きたい」と求めた。
 
また、消費税増税による財源で創設された「地域医療介護総合確保基金」(基金)にも触れ、「診療報酬とは違ったかたちで非常に大事になってくる」と強調した。

14年度の医療分における基金は、医療従事者の確保・要請や在宅医療の推進、ICT化など医療提供体制の改革に向けた基盤整備に充てられている。
このうち在宅医療関連では歯科と薬局を含め、拠点・支援体制の整備や人材の確保・養成に使われる。

今村副会長は講演で「基金は毎年予算が付けられ、消費税率が8%から10%に上がれば、さらに上積みされる。単なるバラマキではなく、薬局・薬剤師がどのような体制整備策として使うかが重要になる」と話した。
 
その上で、調剤報酬に対する日医委員の厳しい指摘が相次ぐ中医協議論にも触れ、「分業の見直しなどを主張していてお叱りを受けると思うが、診療報酬の部分だけを捉えれば、薬局・薬剤師には年末から厳しい話が出てくるかもしれない。

診療報酬ではない部分でも色々と取り組んでいかなければならない」と説明。地域包括ケアシステムの性質や基金の使途などから、在宅医療に対する薬局・薬剤師の役割が期待されていると述べ、「『かかりつけ医』とともに、『かかりつけ薬剤師』に一緒に仕事をして頂きたい」と語った。


■厚労省・神田局長 かかりつけ薬剤師の確保に「担当制」
 厚労省の神田局長は講演で、省内で検討している「健康づくり支援薬局」などを踏まえ、薬局・薬剤師の今後の方向性について見解を示した。
「支援薬局」の基準づくりを進めている検討会は現在、研修を修了した薬剤師の常駐や一定数以上のOTC薬と衛生材料の取扱い、土日祝日の薬局開局、要指導医薬品の販売・相談時における薬剤服用歴への記載など大まかな方向性を了承。今後は「かかりつけ薬局・薬剤師」の役割やあり方を論点に据えて審議を深めていくが、神田局長は「『かかりつけ薬剤師』が役割を発揮できるようにするには、組織体としての薬局が、『担当制』などの勤務体制を確保するといったマネジメントが求められる」と語った。
 神田局長は講演で、医薬分業のメリットを患者に感じてもらうための重要点として、▽複数科受診の場合でも多剤・重複投薬や相互作用を防止▽副作用や効果の継続的な確認を受けられる▽在宅療養でも服薬指導を受けられる▽飲み忘れの防止に伴う残薬解消――などを列記。これらの利点を患者に実感してもらうためには、日頃から患者と継続的に関わって信頼関係を構築し、常に気軽に相談できる「かかりつけ薬剤師」の存在が重要だと指摘した。その「かかりつけ薬剤師」の役割を発揮させるためには、▽コミュニケーションスキルや在宅対応に関する研修などを通じた薬剤師の育成▽担当制など適切な勤務体制の確保▽医療機関など関係機関との連携体制の構築▽来局者が気軽に相談できるスペースの確保▽患者ニーズに対応するための必要な医薬品の備蓄――といった業務管理を行う必要があると説明。特に「担当制」に関しては、「来局するたびに薬剤師が変わっているのでは機能を果たせない。診療所と違って『一人薬剤師』の薬局は多くないので、組織体としての薬局がマネジメントしなければならない」と語った。
■厚労省・神田局長 調剤基本料の特例「さらに適正化の可能性」
 特定の医療機関からの処方せんを集中的に受ける、いわゆる「門前薬局」の対策に関しても見解を示した。処方せんの集中率と枚数に応じて調剤基本料を減らす「特例ルール」について、14年度調剤報酬改定に続いて厳格化される可能性があると観測。「特例ルール」は14年度改定で、「1カ月4000枚超で集中率70%超」との区分に加え、「1カ月に2500枚超で集中率90%」という新区分が導入されたが、神田局長は「門前薬局の評価を見直す上で、考えられる基準は処方せん枚数と集中率しかない。次期改定以降はさらに低い数値にまで適正化を進める可能性もある。厳しくなることは間違いないと認識して頂いてもいい」と推測した。