調剤報酬の議論開始も「分業批判」に集中――中医協・総会

2015.08.01

調剤報酬の議論開始も「分業批判」に集中――中医協・総会
2015.07.31 薬事ニュース



 中央社会保険医療協議会は7月22日に総会を開き、次期調剤報酬改定に向けた議論をスタートさせた。厚生労働省は会合で、政府の経済財政諮問会議や規制改革会議による指摘も踏まえ、患者本位の医薬分業の実現を目指し、投薬・残薬管理や医師との連携による地域包括ケアへの参画、門前薬局の評価見直しといった方向性を提示。また、総会の前に開催された診療報酬基本問題小委員会(基本小委)には、残薬や多剤・重複投薬の減少に向け、分割調剤の活用や「リフィル処方せん」の検討などを論点として示した。しかし会合では、日本医師会の委員を中心に「分業のメリットを原点から議論すべき」などの意見が相次ぎ、議論の大半は従来からの分業批判に集中した。
 厚労省は同日の総会で、先に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)のうち、調剤報酬に関して盛り込まれた提言に沿って、次期改定に向けた検討を進めるよう各委員に求めた。基本小委には、残薬確認と分割調剤を主題とする資料を提出し、▽薬局・薬剤師を活用した残薬確認の徹底▽多剤・重複投薬の減少に向けた取組み▽大病院からの慢性疾患に関する長期処方への分割調剤の活用――などを論点に掲示。加えて、一定期間内に繰り返し使える処方せん「リフィル処方せん」の検討についても、政府の関係会議による指摘事項として紹介した。これらの検討課題に関しては今後、総会で議論を進めていく。
 まず基本小委で議題となった分割調剤を巡っては、14年度改定における議論でも俎上に載せられたが、診療側委員からの反対を受けて継続課題に据え置かれた経緯がある。厚労省は14年度改定の議論で、長期投与された患者の残薬状況を把握し、薬局で適切な薬学的管理・指導を行う必要性から、特定機能病院や500床以上の地域医療支援病院で長期処方された場合、あらかじめ決まった日数の分割調剤を試行的に導入する案を提示。長期保存が困難なケースなどを理由に行う現行の分割調剤とは異なるため、調剤基本料などの評価も併せて見直す方向性も提案していたが、結果的に14年度改定の答申附帯事項に盛り込まれるに留まった。
■診療側委員 「リフィル」検討は「時期尚早」
 「リフィル処方せん」の導入に関しては、これまでに閣議決定された14年度版の骨太方針や「規制改革実施計画(15年度版)」で、医薬分業の推進や調剤報酬の抜本的な見直しに向け、15年度中に検討して結論を出すよう求められていた。
 このうち「リフィル処方せん」の検討を巡っては、診療側委員から「『リフィル処方せん』は『かかりつけ医』のど真ん中の業務であり、議論する状況にはない。できれば分割調剤までの議論に留めるべきだ」(日本医師会・中川俊男副会長)、「必要ではないと現時点で思う。議論はまだ早い」(日本病院会・万代恭嗣常任理事)などと否定的な意見が続出。これに対して支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会・副会長)は、「『リフィル処方せん』の導入は門前薬局対策にも関わる話。閣議決定でも検討事項と定められているため、議論させて頂きたい」と反論し、一応は次回以降も検討する流れとなった。ただ、白川委員は議論に際して「患者の自己負担が増えることには反対する。分割調剤と『リフィル処方せん』については、患者負担と利便性を考えて議論して頂きたい」とも付け加えている。
■支払側・白川委員 薬歴指導料とGE加算が1つのテーマ
 一方、調剤報酬の方向性を議題にした総会では、分業自体の意義を疑問視する意見が続出。厚労省は会合で、多剤・重複投与や相互作用の防止、在宅での服薬管理・指導、残薬解消、門前薬局の評価の見直しなど、今後の薬局全体の改革の方向性を示したが、ほとんど議論では触れられなかった。
まず診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が、「院内処方は、患者からも『早い』『安い』『親切』『変なものを売りつけられない』との声が聞かれる。まずは院内・院外処方の点数格差を是正すべきだ」「『服薬管理』は医師の業務であり、薬剤師の業務は『服薬指導』」などと口火を切ると、中川委員も「調剤報酬の各種の加算は、質よりも数量を担保する仕組みとなっており、企業の体力さえあれば簡単に算定できるものが多い」「分業のメリットをもう一度原点から議論すべきだ。調剤医療費の伸びをみると、明らかに分業は行き過ぎている」「わざわざ医療機関から出て薬局に行くことが本当にいいのか」などと苦言を連発。松本純一委員(日本医師会常任理事)も「残薬対策などは薬剤師本来の仕事だ」として調剤報酬の安易な増点を牽制した。
 白川委員は、分業の必要性自体は認めつつも「分業によって患者負担は増えているが、それに見合った効果が出ているとは言い難い」と主張。その上で次期調剤報酬改定のポイントの1つとして、薬剤服用歴管理指導料(薬歴指導料)と後発医薬品調剤体制加算を挙げ、「薬歴指導料は服薬指導の評価だが、単に記録を取って薬歴に記載するだけの作業にみえる。それでは41点に見合う機能を果たしているとはいえない。後発品の新たな政府目標も掲げられており、これらを1つの大きなテーマだと考えるべきだ」と提言した。
 こうした中で安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、「鈴木委員にも分業を進めるべきだと言って頂けるように、薬剤師の機能転換を積極的に図りたい。調剤報酬のあり方に関しても、建設的な見地からの議論をお願いしたい」と理解を求めた。


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