骨太の方針2015が閣議決定 「現状では立ち行かない」社会保障、重点改革へ

2015.07.02



骨太の方針2015が閣議決定

「現状では立ち行かない」社会保障、重点改革へ


2015/7/1

土田絢子=日経ヘルスケア 



 政府は6月30日の臨時閣議で「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針2015)を決定した。長期にわたって赤字が継続している日本の財政状況とその大きな要因である社会保障制度について、「現状のままでは立ち行かなくなることが明らかだ」と指摘。2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化達成の目標を堅持し、社会保障を歳出改革の重点分野に掲げた。

 社会保障改革の目安について、「現状では社会保障費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5兆円程度)になっており、経済・物価動向を踏まえ、その基調を2018年度まで継続する」ことを提示。改革項目は、(1)医療・介護提供体制の適正化、(2)インセンティブ改革、(3)公的サービスの産業化、(4)負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化、(5)薬価・調剤等の診療報酬および医薬品等に関する改革、(6)年金、(7)生活保護など――を挙げた。主要な改革は2018年度までに集中的に進める。

 記者会見で甘利明経済再生担当相は、「骨太の方針2006」(社会保障費の自然増分を毎年2200億円、5年間抑制する目標を掲げた)と比較し、「骨太の方針2006は歳出のキャップを決めて構造改革が起きることを期待したが、実際には単位当たりコストや単価を強引に押し込め、期待した改革が起きなかった」と指摘。さらに、「我慢し切れなかったときに暴発して元の木阿弥になる危険性があった」と振り返った。一方、骨太の方針2015は、「具体的な構造改革のメニューを示して目安を達成しやすくしている。インセンティブ改革、産業化などの大胆な提案をした」と強調した。

 具体的なメニュー例として、「医療・介護提供体制の適正化」では、(1)都道府県ごとの地域医療構想を策定し、データ分析によって医療提供体制の差や将来必要となる医療の「見える化」を行い、それを踏まえて病床の機能分化・連携を進める、特に療養病床の地域差是正を着実に行う、(2)外来医療費も重複受診・重複投与・重複検査などの適正化を行い地域差の是正を図る――などを示した。これらを実施するため、都道府県ごとに医療費の水準や医療の提供に関する目標を設ける医療費適正化計画を策定する。

 「インセンティブ改革」に関しては、全ての国民が疾病予防や介護予防に取り組み、適切な受療行動を取ることを目指し、国民健康保険において保険者努力支援制度の趣旨を前倒しで反映する、健康づくりを行う個人に対するヘルスケアポイントを付与する――などを掲げた。「公的サービスの産業化」については、多様な保険外サービスの産業化を促進するため、医療関係職種の活躍推進、民間事業者による地域包括ケアを支える生活関連サービスの供給促進――などを挙げた。「薬価・調剤等の診療報酬および医薬品等にかかる改革」では、後発医薬品の数量シェアを2018年度から2020年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする、診療報酬改定に当たっては前回改定の効果や保険医療費への影響を踏まえ、改定の水準や内容を国民に分かりやすい形で説明する――とした。