[社説]骨太方針骨子案 実効性ある社会保障の抑制を

2015.06.16

[社説]骨太方針骨子案 実効性ある社会保障の抑制を
2015.06.13読売新聞


 歳出改革の道筋を具体的に示し、信頼に足る計画に仕上げてほしい。

 政府が、今後の予算編成などの指針となる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)の骨子案を公表した。

 骨子案は、「経済再生なくして財政健全化なし」として、成長による税収増を財政再建の柱とする方針を示した。一方で、歳出改革についても「聖域なく進める」と明記し、社会保障費の抑制を重点分野と位置づけている。

 年金や医療といった社会保障費は、このままでは高齢化の進展などで毎年1兆円近く増え続ける見通しだ。歳出改革の中心となるのは、当然である。

 ただ、その具体策は明示されていない。月末の骨太方針の閣議決定に向けて、さらに踏み込んだ議論を重ねる必要がある。

 抑制策の焦点の一つは、安価な後発医薬品の利用促進だ。

 厚生労働省は、普及率を現在の60%から2020年度に80%以上とする目標を示した。財務省は17年度末までの達成を求め、攻防が続く。年1・3兆円の医療費の節減効果が見込まれるだけに、早期実現が望ましい。

 複数の医療機関からの重複投薬や、服用されない「残薬」が多い問題もある。患者の服薬情報を一元管理する「かかりつけ薬局」を広め、解消を図るべきだ。

 医療提供体制の見直しも重要だ。手厚い医療を提供する病床が増え過ぎ、医療費を押し上げている。在宅医療が不十分なため、不要な入院を続ける例も目立つ。

 都道府県は今年度から、将来の医療ニーズと必要な病床数を含めた地域医療構想を策定する。適切な内容と着実な実施が大切だ。

 骨子案では、「負担能力に応じた公平な負担」を掲げた。介護保険や75歳以上の医療費の自己負担引き上げが念頭にある。高所得の高齢者の負担増はやむを得まい。年金課税の強化や高所得者の年金減額も検討すべきだ。

 だが、与党内には来年夏の参院選を意識し、社会保障費の抑制に消極論が根強い。骨太の方針にきちんと書き込めるのだろうか。

 自民党の特命委員会がまとめた財政再建に関する最終報告でも、社会保障分野は従来の課題の列挙にとどまった。当初は歳出削減の数値目標を示す方向だったが、意見集約できなかった。

 社会保障費の抑制には痛みを伴うものが多いが、議論を先送りせず、現実的で実効性ある改革案を示さねばならない。