[社説]魚沼基幹病院 住民の安心感を高めたい

2015.06.13

[社説]魚沼基幹病院 住民の安心感を高めたい
2015.06.07 新潟日報


  これまでにない高度で専門的な病院ができた。身近な医療を担う既存の病院と連携することで、「地域完結型」となる先進的なモデルにしたい。

  県が建設を進めてきた魚沼基幹病院が南魚沼市浦佐に開院した。魚沼は県内で最も医師が少ない圏域だけに、住民や患者の期待は大きいはずだ。

  基幹病院は、医師が73人、看護師と助産師が計298人の規模だ。病床数は354でスタートし、454まで増やす。

  診療科は31科ある。魚沼医療圏にこれまでなかった救急医療体制を備え、がん治療などの高度医療や周産期母子医療を充実させた。

  これまで新潟、長岡両市などに通院していた患者も今後は基幹病院で治療が受けられるだろう。

  基幹病院構想は、老朽化した県立小出病院を改築する議論から浮上した。高度医療を提供するため、新病院建設が決まった。

  県が出資する財団法人「県地域医療推進機構」が運営する、公設民営方式だ。

  魚沼医療圏は、10万人当たりの医師数は約122人と、全国平均の半分ほどしかいない。住民にとって深刻な数字である。

  基幹病院には、新潟大学魚沼地域医療教育センターが設置される。体全体を診ながら、幅広く診断できる医師を育成するとともに、医師不足解消も狙っている。

  関東方面からの交通アクセスの良さを生かして、県外から研修医を集めることができるかどうかが鍵を握るだろう。

  基幹病院開院に伴い、魚沼、南魚沼両市にある既存の4公立病院の役割は初期症状への対応や、リハビリ、療養が中心となる。

  運営が県から市に移ったり、病床数や診療科が減少したりする。

  病院側には、基幹病院と既存病院との間でうまく役割分担ができるかとの懸念もある。患者側も、不安や戸惑いを感じることがあるかもしれない。

  各病院は丁寧な説明に努めるとともに、緊密に連携してほしい。県や市町、大学、住民も積極的にサポートしてもらいたい。

  魚沼医療圏は、魚沼、南魚沼、十日町、津南、湯沢の5市町からなり、人口は約17万人だ。

  人口は減少傾向で、65歳以上の割合は30%を超えている。豪雪時には他圏域への患者搬送が困難になるハンディもあろう。

  医師不足、人口減、高齢化は、いずれ日本全体が直面する課題といえよう。だからこそ、魚沼は「最先端の地」といわれる。

  基幹病院と既存の病院との連携が成功すれば、全国の先駆けとなるだろう。関係者には腰を据えて取り組んでもらいたい。

  魚沼基幹病院の開院で、次の焦点は県央医療圏に移る。県央基幹病院の議論が本格化して10年が経過するが、設置場所や開院時期すら確定していない。

  県内のどこに住んでいても、等しく高度な医療を受けられるのが理想だ。現状はそこには届いていない。地域との話し合いを深めながら、県が強くリードしていくべきだろう。