地域包括ケア@新潟:11)都道府県の策定本格化 地域医療構想、10年後見据え/新潟県

2015.06.08

地域包括ケア@新潟:11)都道府県の策定本格化 地域医療構想、10年後見据え/新潟県
2015.06.06 朝日新聞



 団塊の世代が75歳となる2025年を見据え、必要な医療を適切に提供できるようにするために、都道府県は今年度から、本格的に地域医療構想作りに取り組む。地域包括ケアを実現していくための医療面での土台となる構想だ。


 5月16、17両日、東京都文京区の東京大学で「地域の医療計画を、ともに作る」と題したシンポジウムが開かれた。同大公共政策大学院の医療政策実践コミュニティーが主催した。

 「地域医療構想は10年後の医療ニーズを展望して、医療提供のあり方を動かすものです」

 講演した厚生労働省の北波孝・地域医療計画課長は説明した。従来の医療計画は、今、必要な病院のベッド数を定め、過剰ならば基本的にはそれ以上増やすことができない。行政が病院に「増やすのはやめて」という仕組みだ。一方、人口減少や高齢化の進展で変わる将来の医療ニーズの方へと「病院に動いてもらう」のが地域医療構想だ。「医療計画の性質が変わった」と北波課長は言う。


 ■2025年需要提示

 計画策定に向け、厚労省は今月中に25年の医療需要を示した詳細なデータを都道府県に提供する予定だ。職員がデータの扱い方を学ぶ研修会も実施する。データをもとに都道府県は、高度急性期、急性期、回復期、慢性期といった機能別の病院のベッド数がどのように変化するかを推計し、計画に盛り込んでいく。病院によってはベッド数を減らしたり、ベッドの機能を変えたりする必要性が出てくることになる。

 従来の医療や介護などの計画では、自治体が作業をコンサルタント会社に丸投げし、どこも同じような文章の計画になるといった例も散見されたという。北波課長は「コンサル委託が悪いとは言わないが、これで地元の人々が共感するのか」と指摘し、政策担当者に対して「データを咀嚼(そしゃく)し、自分のものとして地域を熱く語って欲しい。共感をもってみんなで進めるために汗をかいて欲しい」と要望した。

 シンポジウムや講演では、各県での取り組みが紹介された。

 三重県の佐々木孝治・医療対策局長は「地方創生、人口減少対策とも関連し、地域に寄りそう医療政策の視点で地域医療構想を考えたい」と話した。同県の人口は180万人強。従来の医療圏は四つだが、よりきめ細かく対応するために地域医療構想では八つの構想区域を設定する予定だ。それぞれに医療関係者らが参加する「調整会議」を立ち上げるために、メンバーの人選を進めているという。

 一方で、人口が70万人強の高知県は、従来四つの医療圏があるが、地域医療構想の策定態勢は一つにする方針だ。構想策定を担う職員として昨年、着任した医師の伴正海・医療政策課主幹は「機動性を重視した」と話す。県医師会は昨年度から、全ての病院、関係団体、郡市医師会の代表者らが集う地域医療ビジョン対策委員会を設置し、行政も交えて議論を始めている。各福祉保健所では、すでにある医療や福祉を話し合う会で住民からの意見を集めていくという。

 奈良県は、06年に妊婦の救急搬送でたらい回し問題が起こるなどしたこともあり、これまでも積極的に医療改革を進めてきた。渡辺顕一郎・医療政策部長は「地域医療構想作りも、知事を筆頭にプロジェクトチームを作って対応を進めている」と言う。人口は約140万人弱で都市部と過疎の両地域がある。地域医療構想は、従来の五つの医療圏を基本に検討する予定だ。


 ■七つの医療圏

 新潟県での取り組みはどうだろうか。県福祉保健課の担当者によると、3月に、医師会など関係団体の代表らが集まる会議を開き、今後の動きに関する情報を共有したという。まずは、今月中にも厚労省から示される医療需要に関するデータを見た上で、医療審議会の下部組織の協議会で、地域医療構想の構想区域を従来の七つの医療圏と同じにするのか、新たな区域にするのかを検討する予定だ。(松浦祐子)


 ■地域医療構想の策定プロセス

 ・策定を行う態勢の整備

 タウンミーティングやヒアリングなど様々な手法で患者・住民の意見を反映できるようにする

      ↓

 ・データの収集、分析、共有

 厚生労働省が基礎データを整備し、都道府県に提供する(6月中予定)

      ↓

 ・構想区域の設定

 人口規模や疾病構造の変化などを加味して柔軟に設定する

      ↓

 ・構想区域ごとの医療需要の推計

      ↓

 ・医療需要に対する医療提供態勢の検討

      ↓

 ・上記を踏まえ、必要な病院のベッド数の推計

      ↓

 ・構想区域の確認

      ↓

 ・2025年のあるべき医療提供態勢を実現するための施策を検討