医療費削減 国保に促す 医療保険改革法 病床数適正化 カギ

2015.05.29

医療費削減 国保に促す 医療保険改革法 病床数適正化 カギ
2015.05.28 読売新聞



 27日の参院本会議で成立した医療保険制度改革関連法は、赤字に苦しむ国民健康保険(国保)の財政基盤を強化するため、税金や企業の健康保険組合の資金の投入を増やす内容が盛り込まれた。今後、国保を運営する都道府県には病院の病床数の適正化や病気予防策の強化など、医療費削減に向けた一層の努力が求められそうだ。

 厚生労働省によると、2013年度は国保に3兆円を超える国費を投入したが、全国で計約3100億円の赤字を計上。赤字の国保は全体の52・7%の905自治体に上った。

 関連法は、18年度から運営主体を市町村から都道府県に移し、財政規模の拡大で安定化を図る。15年度から年1700億円の税金を投入する。

 さらに、18年度からは、国が健保組合などから集めた資金のうち1700億円を加え、年3400億円を支援する。健保組合は負担増となるため、加入する会社員らの保険料がアップすることは避けられない状況だ。

 関連法には、国保に医療費削減の努力を促す仕組みも盛り込まれた。安価な後発医薬品(ジェネリック)の普及などに積極的に取り組む自治体に優先的に公費を配分する「保険者努力支援制度」の創設だ。

 財務省は「住民1人当たりの医療費は、最も高い県と低い県の間で2倍以上違う」として、適正化を強く求めている。

 具体的には、国保加入者の診療報酬明細書(レセプト)などビッグデータを活用することで、医療のムダをあぶり出すことなどを挙げている。住民1人当たりの病床数が多い地域ほど、医療費が高額になる傾向があるため、政府内には「病床数をいかに削減できるかがカギだ」という見方もある。

 各都道府県は、25年時点の適正な病床数などを定める「地域医療ビジョン」を16年度中にもまとめる方針だ。過剰な病床の削減などに踏み込めるかどうかが焦点となりそうだ。


 〈解〉ミニ解説国保 自営業者や無職、非正規労働者など約3500万人が加入し、現在は市町村が運営している。高齢者の増加で医療費がかさむ反面、加入者の8割を定年後の元会社員ら無職の人や非正規労働者が占めるため、保険料収入が伸びない構造的赤字体質にある。