医師不足:地方病院、足りない 研修制度変更が影響 道内大学医局、派遣余裕なく /北海道

2015.05.14

医師不足:地方病院、足りない 研修制度変更が影響 道内大学医局、派遣余裕なく /北海道
2015.05.13 毎日新聞



 全国的に医師の都市偏在が問題となる中、広大な北海道でも地方病院の医師不足が深刻だ。大学病院の医局が郡部に医師を派遣できなくなったのが背景で、道は北海道大に医師を派遣する「地域医療支援センター」を4月に設置したり、医大生の奨学金制度を継続したりと対策を打つが、根本的な解決には程遠い。

 「医師がなかなか見つからない」。人口約3300人の天塩町で町立国民健康保険病院の野崎浩宜事務長(53)が嘆いた。慢性の医師不足で2012年に4人いた常勤医師は現在1人。週の大半は町外の医師の応援を仰いでおり、「地元で十分な医療を受けられなければ、人口流出を止められない」と訴える。

 北海道の医師偏在は顕著だ。12年末の厚生労働省の統計によると、医療機関に勤める医師1万2262人のうち約93%が市部に集中、郡部は7%だった。道が1月に公表したアンケート結果によると、回答した道内の497病院で1072人の医師が不足していた。

 郡部では病院維持が困難な例も。旭川市の隣の幌加内町では来年春、国民健康保険病院が病床のない診療所兼老人ホームに移行する。同病院で唯一の常勤医師の森崎龍郎院長(45)は「旭川に近いので積極的な治療より、みとりや介護にニーズが変わってきた」と話す。

 かつては大学病院が過疎地に人材を豊富に派遣してきた。しかし04年に新たな医師臨床研修制度が導入されて状況は一変。新人医師は出身大学の医局で研修を受けるのが慣例だったが、新制度で研修先を自由に選べるようになり、都市部の病院での研修希望者が増えた結果、大学に残る若手医師が減少。地域に人を出す余裕がなくなった。

 対策として北大に設置された地域医療支援センター(定員6人)は、地方の医療機関の要請に応じ、1~4年間、北大病院の医師を派遣する。同様のセンターは01年度に札幌医大(定員20)、09年度は旭川医大(同6)にも設置され、14年度までに延べ171人の医師が地域医療に従事した。しかし、両センターでは定員数の医師を確保できないことも多く、道の担当者は「センターだけでは地域に必要な人数は賄いきれない」と漏らす。

 道は医大生に卒業後5年間の指定医療機関での勤務を約束してもらう代わりに、学費を補助する奨学金制度も08年度から続けている。15年度までに入学した187人が利用したが、地域医療をためらい、途中で返金した学生も2人いた。

 地域医療教育研究所(京極町)の前沢政次代表理事(68)は「制度で縛っても根付かない。地域に貢献したい意思のある人を大学や現場が中心になり、情熱を持って育て上げないといけない」と指摘している。