新病院設立覚書に調印 統合の阿南中央と共栄

2015.05.13

新病院設立覚書に調印 統合の阿南中央と共栄   2013/11/23 徳島新聞

新病院設立覚書に調印 統合の阿南中央と共栄 統合することが明らかになった阿南市の阿南共栄病院(羽ノ浦町)と阿南医師会中央病院(宝田町)をそれぞれ経営するJA徳島厚生連と市医師会、市の3者が22日、新病院「阿南中央医療センター」(仮称)の設立に向けて覚書を交わした。2017年度設立を目指す。

 調印式が同市富岡町の阿南ひまわり会館で行われ、厚生連経営管理委員会の荒井義之会長(JA徳島中央会会長)と市医師会の岸彰会長、岩浅嘉仁市長の3人が覚書に署名・押印した。

 荒井会長は、厚生連に経営権などを無償譲渡する市医師会に対し「英断してくれたことに感謝したい」と謝辞を述べた上で「365日・24時間体制の2次救急医療や回復期リハビリテーション、緩和ケアなどの医療を切れ目なくできる病院にしたい」と抱負を語った。

 岸会長は「先を見据えた地域医療のために決断した。今後も全力で協力する」と話し、岩浅市長は「市の中核医療センターになるよう可能な支援をしたい」と約束した。

 覚書では、厚生連は市医師会から譲渡を受ける中央病院病棟の隣に新病棟を建設。新たな医療センターとして2次救急の維持や産科、小児科の充実を図るとしている。

 調印式後、病床数や診療科目数など新病院の具体的な経営内容を決める「阿南中央医療センター(仮称)設立委員会」の初会合を開き、規約を承認したほか会長に荒井氏を選任した。
【写真説明】新病院建設を目指す覚書に調印し、握手を交わす(左から)岸会長、岩浅市長、荒井会長=阿南ひまわり会館///////////////////////////////////////////////////////////

 
社説
11月24日付  阿南中核病院統合  地域医療の頼れる拠点に          

 阿南市の中核病院である阿南共栄、阿南医師会中央の両病院を統合して、新たな病院「阿南中央医療センター」(仮称)が設立されることになった。

 二つの病院を合わせることで、勤務医の不足で手薄になった救急医療体制を改善する狙いである。2017年度の開院を目標に、高度医療の充実も図る。

 22日には共栄病院を経営するJA徳島厚生連と市医師会、市が覚書に調印し、新病院の設立委員会を発足させた。市民の命と健康を守る、頼れる拠点となるよう期待したい。

 覚書によると、厚生連が市医師会から中央病院の施設と敷地を無償で譲り受け、共栄病院の全ての医療機能を中央病院に移転する。両病院の医師や職員を引き継ぎ、厚生連が経営を担う。

 救急医療への対応では、中央病院の病棟の隣に新たな医療施設を建設し、入院や手術が必要な救急患者を受け入れる「2次救急」を充実させるという。産科や小児科の強化も目指す。

 中央病院は09年4月から夜間の救急医療を縮小しており、共栄病院も救急医療の維持が困難になってきている。

このため、市内の救急患者の約4割が市外に運ばれているのが現状である。乳幼児の夜間・休日診療を担当する病院も曜日ごとに異なるなど、小児医療も十分な体制が取れていない。

 救急、小児ともに統合の効果を生かして体制が整えられれば、市民の不安解消につながるだろう。

 設立を支援する市は、災害時に「市災害医療センター」(仮称)として使える施設を敷地内に建てる計画だ。甚大な被害が想定されている南海トラフ巨大地震に対応できるよう、ハード、ソフトの両面で工夫してもらいたい。

 新病院の病床数や診療科目数などは今後、設立委が決めていくが、中核病院として地域医療を支えるため高度医療を充実させるとしている。それは、確保が難しい勤務医を呼び込むことにもつながるだろう。

 小松島市の徳島赤十字病院などに流れている外来患者を引き戻すには、できるだけ多くの診療科目をそろえる必要もある。

 ただ、人口の減少が続き、患者数も減っていく中では限界もある。過度な施設や人員は経営を圧迫することになりかねない。

 大切なのは、経営とのバランスをどう取るかである。地域の現状と医療ニーズを把握し、将来を見通した計画作りが求められる。

 共栄病院が移転する羽ノ浦町では、周辺地域への影響を心配する声が上がっている。特に、病院利用者が足を運ぶ商店街などでは危機感が強いようだ。移転後の病院跡地の有効利用を含め、市はしっかりと対応してほしい。

 病院統合の背景には勤務医を十分確保できない状況があるが、徳島県の人口10万人当たりの医師数は10年末で304人と全国で最も多くなっている。

 問題は徳島、鳴門両市などの県東部に医師が集中していることだ。地域医療の魅力を高めるなど、医師の偏在解消に向けた施策を強める必要がある。