県幹部に聞く~15年度・県政運営の方針(4)

2015.05.08

県幹部に聞く~15年度・県政運営の方針(4) 健康福祉部長・中山順子さん 医療統括監・阿彦忠之さん
2015.05.06 山形新聞


■健康福祉部長・中山順子さん―受動喫煙防止、主体性を重視

 ―医療・福祉人材をいかに育成し、確保するか。

 「女性医師が年々増加していることを受け、県医師会と連携して『女性医師ステーション』を開設し、支援を一元化する。7月をめどに女性医師向けのポータルサイトを立ち上げ、求人情報の提供などマッチングシステムを強化する。

介護人材については介護職に就いて3年程度の若手職員が対象の交流会を新たに開催し、モチベーション向上と離職防止につなげるほか、介護福祉士の資格取得に対する貸付枠を拡大する」

 ―2015年度は新たに「健康長寿日本一実現プロジェクト」を推進するが、健康づくりに向けた具体的な取り組みは。

 「生活環境の改善は若いうちから行うことが大事だが、必ずしも十分に浸透していない。健康づくりの取り組みをポイント化し、特典が受けられる健康マイレージ制度を市町村と連携して進める

さらに受動喫煙防止対策は健康づくり施策の重要な柱の一つと位置付け、取り組んでいく」

 ―受動喫煙防止の「宣言」を策定したが、条例化を見送ったことで罰則規定がない内容となった。いかに実効性を持たせるか。

 「罰則による規制ではなく、県民が主体的に取り組むことが重要で、それにより実効性が上がるとの考え方から『宣言』とした。具体的な達成目標を掲げ、県民や事業者など各自の役割や取り組みを盛り込み、実効性を確保する。飲食店が作成したマップに対策が記載されるなど自主的な取り組みが進んでおり、受動喫煙防止に対する機運が高まっていると感じている」

 ―認知症高齢者が急増する中、「地域包括ケアシステム」の構築に向けてどのように取り組むか。

 「認知症の人や家族の視点を重視し、山形市内に常設の相談窓口を設ける。県内各地への出張交流会も予定している。また、高齢者の社会参加と介護予防を促進するため空き家を活用した活動拠点づくりを県内10カ所でモデル事業として実施したい」

 ―障害者差別解消法が16年4月に施行される。差別解消を図る必要がある。

 「障害者の地域移行は着実に進んでいるが、グループホームを開設しようとした際に周辺住民の理解が得られず、開設を見送った事例もあると聞いている。県民全体で共生社会を目指す姿勢が重要であり、年度内の条例策定に向けて作業を進めている」

■医療統括監・阿彦忠之さん―卒後の県内定着図り、医師確保

 ―医師確保対策が重要な課題となっている。

 「4月に県地域医療支援センターを設置しており、山形大医学部など関係機関と連携して医師確保を総合的に進めたい。

2017年4月から新たな専門医制度が始まるが、支援センターとして医師不足の地域に医師派遣を行うとともに、そこで専門医の資格もきちんと取得できるようなキャリア形成支援を行う必要がある。

県外の医学部に行っている学生に対して県内医療機関や本県のサポート体制をPRして卒後の県内誘導を進めるほか、医師修学資金の貸付枠を本年度から8人増の23人に拡充しており、これにより卒後の県内定着につなげたい」

 ―4月から各都道府県で地域医療構想(地域医療ビジョン)の策定が始まった。医療提供体制の確保にどのように取り組むか。

 「超高齢社会を迎える中、高齢者の生活の質を重視し、『徹底的に治す医療』から『生活を支える医療』への転換が求められている。将来の推計人口、医療需要予測などのデータ分析に基づき、県内4地域ごとに将来の医療提供体制のあるべき姿を地域医療ビジョンで明確化する。

例えば人口構造の変化により、急性期の患者を中心に医療需要の減少が見込まれる中、急性期病床をどの程度、回復期病床に転換すべきかなどを示す」

 ―地域医療ビジョン策定のスケジュールは。

 「将来の医療需要予測に向けたデータ分析のツールが国から提供される。

これを踏まえ、9、10月ごろに全病院を対象とした説明会を開いて情報を共有したい。15年度内にビジョンのイメージを作り、16年度中に策定する。県内病院間の合意形成を図ることが重要であり、医療統括監として調整に当たり、実効性のある『山形方式』のビジョンを策定したい」

 ―昨年度はエボラ出血熱などの感染症対策が話題になり、第1種感染症指定医療機関の県立中央病院(山形市)では感染防護具が不足するといった課題が顕在化した。

 「昨年11月に関係機関が訓練を行い、防護具の着脱時に汚染しやすいといった課題を認識した。防護具は一時入手困難だったが、備蓄のため750着を発注しており、不足は心配ないと考えている。新型インフルエンザを含めて新たな感染症の脅威に対し、定期的に訓練を重ねて着実に対応能力を高めることが重要だ」