(地域包括ケア@新潟:7)公立病院改革、課題は財政面 医療再編、事業転換も/新潟県

2015.04.20

(地域包括ケア@新潟:7)公立病院改革、課題は財政面 医療再編、事業転換も/新潟県
2015.04.18 朝日新聞



 住み慣れた地域で安心して暮らしていける態勢を整えるために、介護施設や医療機関の再編が本格化するとみられる2015年度。

県内では、公立病院が重要な役割を担う。一方で、採算性の悪い地域で医療を担う公立病院も多く、財政面などで課題もある。


 人口は1960年の約9万1千人から2015年には約6万5千人に減少。

常勤医の数は06年の35人から今は6人。市からの財政支援はここ数年、10億円超が続き、市の財政調整基金の残高は13年度で約162万円に――。

 東京から特急で2時間弱の所にある千葉県銚子市。3月に開かれた「地域医療シンポジウム~これからの地域医療と公立病院のあり方を考える」(銚子市主催、政策シンクタンク「構想日本」協力)では、市立病院をめぐる厳しい数字が並んだ。

 同病院の前身の市立総合病院は医師不足や市の財政悪化から08年にいったん診療を休止し、全国的にも「医療崩壊」の先例として話題となった。

10年に公設民営方式の市立病院として再開したが、医師不足も財政赤字も改善にはほど遠いのが現状だ。

 そんな中、市の高齢化率は今で32%、遠くない将来には、40%を突破すると予想される。越川信一市長は「市立病院には、医療、保健、福祉をつなぎながら市民の生活を支える地域包括ケアの役割が求められている」と話す。

 地元医師会長や市立病院長らが参加したシンポでは、地域包括ケアの実現の難しさが浮き彫りになった。

市民からは「365日の夜間救急の対応」を求める声があがる。だが、市立病院は医師が確保できずに、昨年は1週間に4回できた夜間救急対応が、3月からは2回に減った。

地元医師会は、所属の開業医の平均年齢は65歳で「70歳の医師を夜中働かせるのは難しい」という。

 少子高齢化と人口減少が同時に進む中、全国各地で同様の事態になることが心配される。

それを避けるためにも、公立病院を所管する総務省は07年から公立病院改革ガイドラインを策定し、改革を進めてきた。

今年3月末には新ガイドラインを作り、地方自治体にさらなる改革を求めている。

 新ガイドラインでは、15年度から各都道府県で策定が始まる地域医療構想を踏まえて、「公立病院の役割を従来にも増して精査する」ことを自治体に求める。

20年度までに公立病院事業が経常黒字化する目標を定めるべきだとし、過去3年間連続して病院のベッドの稼働率が70%未満の病院に対しては抜本的な見直しを求める。地域によっては、介護や福祉サービスの需要が高まる中で、病院事業からの転換も含めて見直しを検討すべきだとする。
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 新潟県内では、131カ所の病院のうち県立と市町村立が計27カ所(14年4月1日現在)ある。

県立病院事業の13年度の決算は、純損益が8億100万円の赤字。赤字は4年ぶりだった。

6月の魚沼基幹病院の開院に伴い、県立小出と六日町の両病院が地元の市へ移譲されることから、患者数が減少し、収益は減少。一方で、近年は抗がん剤などの高額な薬の使用が多くなり、病院の支出が増えていることなどの影響が大きいという。

 高いほど黒字に近い医業収支比率は、12年度で88・3%で、全国の89・9%よりもやや赤字傾向だ。

 また、ベッドの稼働率も県立病院全体で、09年度は83・8%だったが、減少傾向が続き、13年度には75・2%だ。同年度では、津川(56・9%)、精神医療センター(60・1%)、加茂(61・1%)、吉田(63・8%)、六日町(65・2%)、小出(67・0%)の各病院で70%を下回った。

 県病院局の担当者は「人口減少で患者数は減っている。それを踏まえて、地域医療構想で定められる県立病院の役割を果たせるように、経営改善を進めていきたい」と話す。

 (松浦祐子)