[解く追う]新たな中核病院計画の課題(四国中央) 医師不足 県内最低水準 見通せぬ確実な確保策

2015.04.07

[解く追う]新たな中核病院計画の課題(四国中央) 医師不足 県内最低水準 見通せぬ確実な確保策
2015.04.05 愛媛新聞


 四国中央市中之庄町の三島医療センター(旧県立三島病院)が4月から、2次救急と入院患者受け入れを一時休止した。宇摩医療圏の2次救急輪番制は本院の四国中央病院(川之江町)が補完し維持されるが、県からの移譲時に盛り込まれた「伊予三島地域での2次救急体制維持」が一時的に不可能になる形だ。同病院は1月末、地域医療再生計画に盛り込まれながら不透明だった新たな中核病院計画について、伊予三島地域での建設を前提に意欲を表明。ただ十分な医師確保の保証はないのが現実だ。

 センターは、県が財政難などを理由に前身の旧県立病院の移譲先を公募し、2010年4月、公立学校共済組合(本部・東京)が運営する四国中央病院の分院として再スタートした。移譲を軸にした県の地域医療再生計画(09~13年度)では、中小規模病院の林立による医師や機能の分散を改善し、圏内で完結する医療の実現や2次救急体制の再構築を目標に設定。現在地で本院と統合し「将来的に350床規模の中核病院建設」をうたっていた。

▼「共倒れ回避」

 センターは初年度から年間4千万~1億円弱の赤字が続いた上、本院の内科医不足もこの2、3年顕著となり「(本院・分院の)共倒れを避けるため集約を決めた」(同病院)。県からセンターへの常勤医派遣は他の県立病院の医師不足を理由に13年度から打ち切りとなり、一時休止に追い打ちをかけたとみられる。

 市消防本部によると、センターの2次救急受け入れは09年度410人だったのが、移譲に伴う病床再編も影響し14年度は96人。増加傾向にある搬送者は市内医療機関が約8割を受け入れ、市内への搬送割合は微増。同本部は「輪番制は機能している状況で、休止の影響は限られる」とみる。

 移譲時に住民運動に関わった医師の小原朝彦さん(60)は「2次救急休止は、輪番制が維持されるならやむをえない」と考える。ただ入院が必要な患者には他地域の病院を紹介せざるを得ず「(伊予三島では)確実に医療環境が後退する」と懸念する。

 県は新臨床研修制度の影響による医師偏在などを挙げ「(組合が)これほどの医師確保の難しさを当時は想定できなかったと聞く。中核病院建設の話も進んでおり、民間移譲自体が誤りだったとは思わない」と強調した。

▼再移譲も検討

 四国中央病院は、センターの医療機能を維持した上で後継事業者への移譲を含め再開を検討、新病院は伊予三島地域の別の場所を模索する。新病院の規模を300床超とし、センターに40床程度残す案もあるという。

 新病院に向けた動きで避けて通れないのが、圏域内の医師不足だ。県によると、宇摩医療圏の10万人あたり医師数は県内6圏域で最低の152・7人(12年)で、県全体と比べ約4割少ない。県内全体の状況改善に向け県と愛媛大医学部が連携し09年度に始めた地域特別枠制度に期待が高まるが、県は「配置は公立をまず優先し、地域バランスを考える必要がある」との立場だ。

 四国中央病院は医師確保について「新病院完成で解決する問題ではないと理解している」とも認める。寄付講座など大学でのアピールや魅力ある職場づくり、人脈を生かした勧誘を続ける考えだが、確実な効果は見通せない。

 中核病院の行方に市も気をもむ。篠原実市長は3月定例市議会で「市立ではないが公立系統に近い新病院建設を早期に実現できるよう、(用地探しや進入路整備など)市として市民の安心につなげねばならない」と述べた。

 2次救急を含めた圏域医療の向上には、今ある資源と機能の最大限の活用が不可欠。中核病院建設計画は進み始めたが、医療サービス向上のため医師確保は関係各機関への重い問いとなる。(清家香奈恵)