学会速報◎日本医学会総会 2015 関西より// 医療事故調査は院外専門委員中心が理想

2015.04.13

学会速報◎日本医学会総会 2015 関西より

医療事故調査は院外専門委員中心が理想

特別企画3 皆で作る健康社会 (2)医療や健康の安全文化に向けて


2015/4/13

満武里奈=日経メディカル 
 





 

 
福岡県医師会副会長の上野道雄氏

 「院外専門委員を派遣し、忌憚のない審議を繰り返すことが大事。遺族と事故を起こした医療者の疑問に答えることができ、心を癒やせる」。

福岡県医師会副会長の上野道雄氏は医療事故調査制度のあり方についてこう強調した。

第29回日本医学会総会 2015 関西の学術講演(4月11~13日、京都開催)で福岡県医師会が独自に取り組む医療事故調査法を紹介した。

 福岡県医師会は、それまで同地域で2004年から先行的に行ってきた手法を見直し、2012年からは福岡県医師会調査分析事業(福岡県医師会方式)として医療事故調査に取り組んできた。

 福岡県医師会方式の特徴は、初期対応に力を入れている点と、院外の専門委員を派遣して調査を行う点。

病院は、医療事故発生から24時間以内に福岡県医師会に連絡する。福岡県医師会は院外専門委員を病院に派遣。当事者から事実関係や疑問などを聴き取るほか、病院と十分に審議した上で、院外専門委員が報告書案を作成。5~6版ほど修正協議を重ねた後に、完成した報告書を病院に交付。

病院は報告書をもとに遺族に説明するという流れだ。報告書を遺族に交付するかについては病院の判断に任せている。

 院外専門委員のメンバーは、総合臨床力を有すると判断された院外委員長、大学や公的病院を中心とした院外委員4~7人、院外の診療所医師1人で、適宜、看護師が加わる。

 これまでに10例の報告書を作成しており、うち2例が警察届け出に使用されたが、民事訴訟、金銭支払い例がそれぞれ1例ずつで、刑事訴追された例はなかった。

 一方、2004年から同地域で実施してきた先行事例では、53件中、民事訴訟が14件、金銭支払い例が35件だったことから上野氏は、「先行事例には民事訴訟後の相談なども含まれ、比較は難しいが、手法を改善した効果はあったと考えられる」と指摘した。

なお、2004年から実施してきた先行事例は、院外委員が委員長を担っている点は現在の方式と同じたが、初期対応は病院が行う点や、報告書を作成する事例は少なかった点などが異なる。

 上野氏は、望ましい医療事故調査のあり方として、(1)院外委員が委員長となり忌憚のない審議を行うこと、(2)迅速な初期対応が重要であること、(3)協議を繰り返した結果、病院側が病態を十分に理解して遺族に説明できるようになること――を挙げている