看護師長のパワハラ認定、賠償命令

2015.03.02

NEWS◎地裁小倉支部

看護師長のパワハラ認定、賠償命令

威圧的な言動で部下の看護師が適応障害に


2015/3/2

井田恭子=日経メディカル 
 

新小倉病院(北九州市小倉北区)に勤務していた30歳代の女性看護師が、上司である看護師長からパワーハラスメントを受け適応障害になったとして、病院を運営する国家公務員共済組合連合会と元上司に対し、約315万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、1月25日に福岡地裁小倉支部であった。

過度に威圧する言動により、部下という弱い立場にある者に過重な心理的負担を与えたとして、被告に約120万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は同院に勤務していた2013年春、子どもがインフルエンザにかかったり高熱を出したりした際、所属する病棟の師長に早退を申し出た。

女性は有給休暇が残っていたが、師長は女性について、子どもの病気などで急な休みや欠勤が多いことや、一旦は退職の意思表示をしたが「母親の協力を得て頑張る」と言ったことなどの情報を前任の師長から引き継いでおり、女性に対し「もう休めないでしょ」「子どものことで一切職場に迷惑を掛けないと話したんじゃないの」などと発言。

別の日に行われた面談では、「私が上に『無理です』と言ったらいつでも首にできる」などと発言した。

 さらに、13年秋に薬剤の取り違えミスが発生した際、師長はミスに関与した女性をナースステーションで厳しく叱責した。

一緒に関わった他の看護師に対しては当日のできごとを時系列で書いて提出するよう指示したが、女性に対しては反省文を書くことを求めた。

 女性は13年4月以降は有給休暇の範囲内で休暇を取得し、欠勤したことはなかったが、夏ごろから食欲不振や通勤時の息苦しさ、不眠などが生じ、11月に心療内科を受診。適応障害と診断されて休職し、14年3月に退職した。



労働者の有給の権利を侵害
 
判決では、女性が急病の子どもを保育園に迎えに行くためにやむを得ず早退を申し出たにもかかわらず、上司である師長が有給休暇を取りにくい状況を作り、さらに有給休暇を取得したら人事評価に影響するとの威圧する発言をしたことなどについて、「労働者の有給休暇の権利を侵害している」と指摘
前年度に女性がすべての有給休暇を取得したほか欠勤が相当期間あったことを考慮しても、なお違法というべき」とした。

 また、「首にできる」との発言についても、1年の期間の定めのある雇用契約下で勤務する女性に対し、雇用契約の継続について不安を生じさせ得るものであるから、少なくともその根拠となるに足りる事情が存在し、そのことについての指導などを行った上ですべきだが、発言時点においてそれらの事情は記録上伺えず、「配下にある者に対し過度に不安を生じさせる違法な行為というべき」とした。

 連合会は、「判決を踏まえて今後の対応を検討中」と話している。