政府が医療保険制度改革法案を閣議決定、今国会に提出へ

2015.03.10

政府が医療保険制度改革法案を閣議決定、今国会に提出へ

大病院の外来受診は抑制、患者定額負担を導入


2015/3/4

豊川琢=日経ヘルスケア 
 
政府は3月3日、増大する医療費の伸びの抑制を主眼とする医療保険制度改革関連法案を閣議決定した。

現在開かれている通常国会に提出し、早期成立を目指す。

 法案の名称は、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」。

国民健康保険法のほか健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律などの一部を改正する。患者負担や医療費適正化計画の見直し、国民健康保険の財政支援などを盛り込んだ。

 患者負担の見直しに当たっては、医療機関の機能分化を図るため2016年度から、紹介状なしで大病院の外来を受診した患者に5000~1万円程度の定額負担を義務化する方針。

紹介状のない初診患者と逆紹介しても受診し続ける再診患者に定額負担を求める一方、救急などの初診患者は対象から除外する考えだ。

大病院の範囲については、特定機能病院のほか500床以上の病院、三次救急指定病院も含める方向で調整が進んでいる。

 また、入院時に患者が負担する食事代に関しては、在宅療養との公平性の観点から、調理費相当額を反映させて段階的に上げる予定。

現行では1食260円の負担を2016年度には360円に、2018年度には460円に値上げする。

ただし、住民税非課税の低所得者や難病患者、小児慢性特定疾病患者などは負担額を据え置く方針だ。

地域医療構想と整合した医療費適正化計画に
 2008年度にスタートし、5年を1期として設定されている医療費適正化計画も見直す。

各都道府県は、地域にふさわしい機能別の必要病床数や将来展望をまとめた地域医療構想(ビジョン)を2015年度から順次策定するが、同構想と整合した医療費水準(支出)目標の設定を求めていく。さらに、計画の実効性を高めるため、PDCAサイクルの強化も図る。

 
医療費適正化計画の第1期(2008~2012年度)は、

(1)特定健診・特定保健指導の実施率など生活習慣病対策、
(2)平均在院日数の短縮――の2つについて数値目標が掲げられ、現在の第2期(2013~2017年度)では後発医薬品の使用促進に関する数値目標が追加された。

2018年度からの3期目からは、新たな数値目標が加えられる可能性もある。
なお第3期からは、医療計画や介護保険事業支援計画との整合性を確保するため、計画期間を5年から6年に変更する。

 財政赤字が問題視されている国民健康保険(国保)に関しては、安定的な財政運営や効率的な事業実施を目的に、運営主体を市町村から都道府県に移行して2018年度から実施する考え。

これにより、地域医療構想などを通じた医療提供体制の再編と医療費の適正化の両面について都道府県が責任を果たす仕組みとなる。

併せて、国保への財政支援を拡充。低所得者対策(保険料軽減)の強化として、2015年度から年総額1700億円の支援を行うほか、2018度からは財政調整交付金の増額などによりさらに1700億円を充てる。

 これに対して、高齢者医療を支えるために被用者保険者(健康保険組合加入者など)が拠出している後期高齢者支援金には全面総報酬割を導入する方針。

現在、同支援金の3分の2は各保険者で按分し、残りの3分の1は平均収入に応じて額が設定(報酬割)されている。

この報酬割の部分の比率を2015年度に2分の1に、2016年度に3分の2に段階的に引き上げ、2017年度には全面総報酬割にする予定だ。

それに伴って浮く国費2400億円のうち、1700億円を前述の国保の財政基盤強化に投入し、残りの700億円は負担の増える健保組合などの支援に充てる。

 このほか、後期高齢者支援金の加算・減算制度を導入して、加入者の疾病予防・健康づくりに取り組む保険者にインセンティブを与える仕組みも導入する考え。
また、患者の申し出により国内未承認の医薬品などを利用可能とする「患者申出療養」の創設も盛り込んだ