日医総研 日医総研ワーキングペーパー

2015.03.09

不便さ解消へ「病院に薬局」検討…厚労省反発か
読売新聞 3月8日
 

政府の規制改革会議は、病院などの医療機関の敷地内に薬局を置くことを認めていない「医薬分業」の見直しを検討する。

 医療機関で受診後、薬局まで移動しなければならない不便さを解消しようというものだ。

規制を緩和し、独立した経営の薬局を病院内に設置することを認める案などが浮上しているが、医薬分業を推し進めてきた厚生労働省は反発するとみられる。

12日の会議で議論が始まる。

 厚労省は、薬の過剰投与などを防ぐため、医療機関の窓口で薬を受け取る「院内処方」より、医師の処方箋を受けて薬局の薬剤師が調剤する「院外処方」を推進してきた。

1974年には院外処方に大幅に診療報酬がつくよう改定。省令で、薬局が「医療機関と一体的な構造や経営」となることも禁じている。

経営的に従属してしまうと、薬剤師が医師の処方箋や過剰投与などに疑問を呈したりすることができなくなるためだ。構造的な規制として、病院と薬局間のフェンス設置なども定めている。

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No.268

医薬分業、後発医薬品使用促進の現状と薬局および後発医薬品メーカーの経営

前田由美子


概要 • 国は医薬分業や後発医薬品の使用を進めるため診療報酬(医科、調剤)上のインセンティブをつけてきた。国の政策の結果として、調剤薬局や後発医薬品メーカーの経営は明らかに向上し、雇用の拡大にも寄与している。調剤薬局や後発医薬品メーカーは今後の展開にも期待して、先行投資を行っている。


• 一方、医薬分業や後発医薬品使用促進の成果はあまり明らかではない。

• 医薬分業については、医師と薬剤師とのダブルチェックによる安全性の向上などがメリットとして挙げられているが、十分なエビデンスはない。

患者の不利益(費用負担の増加、二度手間)に対する明確な回答もない。

• 医薬分業に加え、長期処方が進むなどして、医師の業務が薬剤師に移りつつある。財源的には通院間隔が開くので再診回数が減り、医科医療費の抑制につながる。

しかし、この分は医科の財源になるわけではなく、現状を見る限り、医科医療費が調剤医療費に置き換わっているように見受けられる。


• 後発医薬品の使用促進は、先発医薬品(長期収載品)の薬価低下に一定程度寄与すると見られるが、その一方で高価格の新薬の販売にシフトするためか、薬剤単価は上昇傾向にあり、薬剤費比率は縮小していない。

• 医薬分業も、後発医薬品の使用促進も、その流れを逆向きにすることは困難であるが、

厚生労働省は、

① 経済的インセンティブ(処方料・処方せん料、後発医薬品使用に対するもの、長期処方に対するもの)、

② 医療費抑制効果、

③ 患者への影響(メリット・デメリット)を総合的に検証して政策を再評価し、必要に応じてその見直しを行うべきである。


最近、参照価格制度などを導入すべきという意見も浮上しているが、これまでの政策検証プロセスを経ずに、そうした考え方を持ち込むことは問題である。

• 薬価は原価等にもとづいて一定のルールの下に決められているほか、調剤報酬も中医協における公正な議論の下に決められているが、保険薬局や後発医薬品メーカー、さらにその他の関係企業には、公的医療保険の下で医療に参加しているという自覚を持って、それぞれの業績を報告する仕組みを設けることを提案したい。

現在、「医療経済実態調査」でも保険薬局の収益および費用を調査しているが、全国展開している大手企業については公的医療保険に係る部分(たとえばドラッグストアの調剤事業、医薬品メーカーの国内事業)を独立させて報告するイメージである。

そうすることで国民の納得も得られ、医療費財源が適正に配分されて、ひいては公的医療保険の持続可能性向上にも寄与するのではないかと考える。