[医療再生]有識者に聞く(中)医師偏在 ITで補う(連載)=北海道

2015.02.27

[医療再生]有識者に聞く(中)医師偏在 ITで補う(連載)=北海道
2015.02.26読売新聞

 ◇荒田吉彦 道地域医療推進局長

 道内で2012年、医療施設で働く医師数は1万2262人。10年は1万2019人で増え幅が少ない。道内3医大で卒業生は約300人おり、2年間なら600人増えていいはずだが、243人しか増えていない。引退する人を差し引いて考えても、道外に相当数が流出している。

 年齢層も、1998年は30、40歳代が一番多かったが、12年になると40、50歳代が多くなり、高齢化が進んでいる。開業医が高齢化し、後継者に悩んでいる地域も多い。

 医師の偏在が顕著だ。道内には、複数の市町村を一つの単位として医療サービスを行う2次医療圏が21あるが、医師数が全国平均を上回るのは旭川を含む上川中部と札幌の2か所のみ。宗谷、日高、根室、南檜山は全道平均の半分以下だ。

 診療科も偏在している。産科や小児科、外科は医療事故のリスクがあり、なり手が少ない。逆に増えているのは(精神科や眼科など)比較的リスクが低い診療科。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)も重視される傾向にある。

 医師は当直後、朝から普段の診療に戻ることが多く、身体的負担は大きい。どうしても都市部で当直のない診療科に勤務したり、開業したりするケースが増える。勤務環境のいい所に医師が集まれば、地方はますます敬遠されることになる。

 将来の医師をどのように配置していくかが課題だ。函館から北渡島檜山の患者を診るなど圏域を超えた対策も必要。そのためには、ドクターヘリやインターネット技術が重要になる。ドクターヘリは2月から函館に配備され、道内を4機態勢でカバーしている。

 インターネットを活用した「医療連携ネットワーク」は、道内では主に10エリアで事業が進められている。複数の医療機関がネットワークでカルテ情報を共有している。名寄市を中心とする圏域では画像データなどを診て医師が緊急搬送の有無を判断する遠隔救急トリアージという仕組みを導入している。

 導入前は搬送決定まで平均で100分かかっていたが、今は半分以下にまで短縮され、2割は搬送不要になった。

 奥尻島での周産期医療支援システムも参考になる。島では産科の専門医がいないので、函館の病院に情報が送られ、判断される。医師の育成、適正配置はもちろんだが、最新技術を使って補うことも大切になってくるだろう。


 ◇あらた・よしひこ 旭川市出身。札幌医大医学部卒。釧路保健所所長、室蘭保健所所長、道保健福祉部技監などを経て、2014年4月から現職。55歳。