[検証・県予算]産科、小児科医確保めざす 外部から医師招き派遣も=福島

2015.02.18


[検証・県予算]産科、小児科医確保めざす 外部から医師招き派遣も=福島
2015.02.17読売新聞



 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の後、本県の医師数は一時的に減ったが、震災前を上回るまでに回復してきている。だが、診療科や地域によって医師数の偏りはむしろ大きくなった。特に産科や小児科の医師不足は顕著で、産科の休止・縮小に追い込まれる病院もある。

 県地域医療課によると、県内の産科・産婦人科の医師数は2012年12月末現在120人。10万人当たり6・1人(全国平均8・6人)で、全国ワースト2位。小児科医は同11・1人(同12・8人)で全国38位だ。人口減少対策も急務となる中、医師の確保は待ったなしの課題だ。

 「昔は『お産なら赤十字』と言われた時もあったのですが……」

 福島赤十字病院(福島市)事務部総務課長の野田誠さん(49)は厳しい表情でつぶやいた。同病院の分娩(ぶんべん)件数は、1990年頃は年間約1000件に上る年もあったが、近年は約100件にとどまる。少子化や原発事故の影響で出産が減っているうえ、産科医不足で診療体制を縮小したことが要因だ。

 2013年秋、産婦人科の常勤医3人のうち1人が産休で退職することになった。同科では子宮筋腫や卵巣の腫瘍などの手術も行うため、医師2人では24時間の対応を迫られる出産が回らなくなる。県立医大に医師の派遣を要請したが、同大も医師不足で、その余裕はなかった。

 結局、新しい医師は見つからず、14年1月から新規患者の受け入れを、高齢出産や帝王切開が必要な分娩など、リスクが高いケースに限定することにした。同病院のほかにも、済生会福島総合病院(福島市)では定年退職する常勤医の後任が見つからず、お産の取り扱いを4月から休止する方針だ。

 新年度予算案では、医師の確保を目指して、県立医大に「周産期医療人材養成支援センター(仮称)」を設置する新規事業に9900万円を盛り込んだ。同センターでは、外部から産科医や小児科医を計5人招き、医師不足に悩む県内の医療機関に派遣する。臨床研修の場として研修医の確保も図る狙いだ。

 県の担当者は「安心して子供を産み、育てられる県にするためにも、医師確保に努めたい」と、医師不足対策の重要性を強調した。