(地域包括ケア@新潟:3)医療の輪、魚沼圏域で完結へ 医療再編、6月から本格化/新潟県

2015.02.09

(地域包括ケア@新潟:3)医療の輪、魚沼圏域で完結へ 医療再編、6月から本格化/新潟県
2015.02.07 朝日新聞



 国の動きに先駆け、県内では魚沼圏域の医療再編が6月から本格的に始まる。新たに高度医療や医師らの育成を担う魚沼基幹病院(南魚沼市)が開院するのに伴い、従来ある4病院は運営主体が変わったり、規模が縮小したりする。各病院が役割分担をすることで、地域内で医療が完結する「医療の輪」を作ることを目指す。


 「あこがれの病院となって、大勢の医師、看護師、スタッフが集まる病院として成長していくことを期待しています」

 1月末の記者会見で、泉田裕彦知事は、6月1日に開院する魚沼基幹病院への期待を寄せた。


 ■全国から医師を

 同病院は公設民営。病床数は454床で、総合診療科など約30の診療科に加え、救命救急センターや周産期母子医療センターなどの地域医療の中核的な機能を有する。

 設立に向けた動きは、2000年にさかのぼる。1970年代前後にできた小出と六日町の県立2病院は老朽化し、耐震面などに不安が出てきていた。しかも、魚沼圏域には、救命救急や、がん治療などの高度医療を担える病院がない。このため、重症の救急搬送者のうち約2割は、隣の中越圏域の長岡赤十字病院(長岡市)などに搬送せざるを得なかった。

 また、医師不足が顕著な県内でも、魚沼圏域は最も深刻だ。人口10万人当たりの医師数(2012年12月末)は、全国平均237・8人に対して、県平均は195・1人、魚沼圏域は122・7人足らず。04年に始まった新たな臨床研修制度では、医師が研修先を選べるようになり、魅力のある病院でなければ、研修医も集まらなくなっていた。

 そこで打ち出されたのが、基幹病院の構想だった。目指すのは「マグネットホスピタル」と呼ばれる、県外からも研修医や医師をひきつける仕組みづくりだ。

 新潟大医歯学総合病院(新潟市)と連携し、地域医療教育センターを設ける。新潟大の教授らが指導医として研修医らの指導にあたるほか、細かな診療科に分かれて患者をみるのではなく、一人の医師が患者を網羅的に診断できる総合診療医の育成に力を入れる。過疎地域を抱える地域事情を生かして、へき地医療から高度医療までを幅広く学べるのも特徴だ。

 県の同病院設立準備室の星丈志室長は「充実した教育プログラムを作ることで、全国から研修医や医師を集め、県内の医師不足解消に向けて貢献できる病院にしていきたい」と話す。


 ■モデルケースに

 一方で、従来ある地域の病院は、大きく変わることになる=表。県立の小出と六日町の2病院は、規模を縮小した上で、地元の市立病院に変わる。市立の堀之内とゆきぐに大和の両病院も病床数が減る。

 これらの病院は、日常の健康管理や軽い症状に対応する「かかりつけ医」の機能を担う。基幹病院も紹介状がなくても受診できるが、原則は、まずは、地域のかかりつけ医を受診し、より高度な医療が必要となれば、紹介状を持って基幹病院を受診する。そこで集中的に治療を受けた後、再びかかりつけ医のもとでリハビリなどを進める。このように地域内で医療の循環、輪を作ることを目指す。限られた医療資源を効率的、効果的に活用していく取り組みだ。

 「人口減少と高齢化が進む地域。日本全体の課題に、先駆けて取り組むことになる。地域での連携を強めることで、モデルケースを作っていきたい」と星室長は話す。(松浦祐子)


 ■魚沼圏域の病院再編

 <1>現状

 <2>再編後

    *

 ◇魚沼基幹病院

 <1>-

 <2>2015年6月1日開院。454床。総合診療科、内科、精神科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、歯科口腔外科、救命救急センター、周産期母子医療センターなど


 ◇県立小出病院

 <1>383床

 <2>2015年6月1日から魚沼市立小出病院へ。134床(16年4月~)。内科、外科、小児科、泌尿器科、産婦人科、眼科、訪問看護、リハビリテーションなど


 ◇魚沼市立堀之内病院

 <1>80床

 <2>50床(2015年4月~)。内科


 ◇南魚沼市立ゆきぐに大和病院

 <1>199床

 <2>40床(2015年11月~)。内科、精神科、和漢診療科、歯科、リハビリテーション科など


 ◇県立六日町病院

 <1>199床

 <2>2015年6月から南魚沼市立六日町病院へ。20床。外来と透析中心。同年11月からは南魚沼市民病院へ。140床。内科、精神科、小児科、外科、整形外科、歯科口腔外科、リハビリテーション科、訪問看護など