東京女子医大の2歳児死亡事例

2015.02.20

東京女子医大の2歳児死亡事例

プロポフォール死亡事例、遺族側が傷害致死容疑で告訴状

遺族は「外部調査委員会の報告書、真相解明にはほど遠い」


2015/2/20

増谷彩=日経メディカル 
 
東京女子医科大学病院(東京都新宿区)の集中治療施設(ICU)で人工呼吸中の小児患者がプロポフォール投与後に死亡した問題で、遺族側は2月19日、「正当な医療行為には当たらない可能性がある」として警視庁に傷害致死容疑の告訴状を提出し、同日午後に記者会見を行った。なお、同件は既に警視庁が業務上過失致死の疑いで捜査を進めている。

 東京女子医科大学病院では2014年2月にリンパ管腫ピシバニール注入術を受けた2歳男児が、ICUでの経過観察中に急性循環不全で死亡する医療事故が発生。


その後の院内調査で、鎮静に用いられたプロポフォールとの因果関係が指摘されていた(関連記事)。

 同院は外部評価委員会を設置し、鎮静目的でプロポフォールを投与した後に死亡した人工呼吸中の小児患者11例についてプロポフォールと死因との関連性を検討し公表している(関連記事)。

会見では、それとは別に同院が設置した第三者による調査委員会が作成した報告書について、遺族側が検討した結果が語られた。

 同報告書を遺族側が受け取ったのは今年の2月6日。代理人弁護士は会見を行った理由について「病院側は遺族側の了承がない限り報告書を公表しないと言ったので、私たちは10日に公表を了承している。

しかしまだ病院は公表に至っていない。我々は特定機能病院取り消しの審議会などにおいてもこの報告書を俎上に載せた上で検討してほしいと考えている。

そのため、病院が公表する前ではあるが厚労省には昨日報告した」と説明した。

 報告書については、「新たな事実を知ることもできたが、不十分な部分が多すぎる」とコメント。

手術を受ける前に十分な術後管理の説明がなされなかったのに報告書では説明に問題はなかったとされている点、プロポフォール使用時に褐色尿を呈したという報告について検討されていない点、プロポフォールを大量投与すると判断した理由、プロポフォール増量時には指導医に電話で判断をあおぐシステムになっているのに電話はなかったと指導医が証言している点など、検証が不十分だと考えている点が多いという。

 遺族側はこれまで、報告書作成に当たっては病院関係者への聴取やカルテなどからの判断だけでなく、遺族への聴取も希望してきたが叶わなかった。

両親は「カルテなどからの情報だけで判断しているため、実際には術前の説明が不十分だったのに、説明に問題はなかったと結論されている。

そもそもカルテには増量の理由など大事なことが書かれていない。調査委員も検証材料が少なく、ずさんだったとか、認識が甘かったと結論するしかなかったのではないか」と憤った。

 
遺族ともに会見を行った代理人弁護士の貞友義典氏

「救命のための行為でなければ医療行為とは言えない」
 傷害致死容疑で告訴状を提出した理由について、「病院側の真相究明はこれで終了したことになるので、あとは警察を頼るしかない。

医療行為の形を取っていても、それが本当に患者の救命のためのものでなければ正当業務とは言えない。

なので、医師であっても医療行為ではない行為をしたのであれば傷害致死に当たる。我々はそう疑っているということ」と説明。現時点では証拠が揃っていないとして告訴状は受理されておらず、保留となった。両親は、「傷害致死も視野にいれて捜査するとはっきりおっしゃっていただいたので、信じて帰ってきた」と語った。

 もうすぐ亡くなった2歳児の1周忌を迎える父親は、「報告書を見ても、医師たちの不誠実な態度が見て取れる。私たちも子どもも病院を信頼して医療を受けることにし、その結果子どもが亡くなった。

医師達には私たちの子どもが亡くなった理由を究明する責務があるのに、なぜ責任逃ればかりして寄り添ってくれないのか。子どもがかわいそうで仕方がない」と静かに語った。