患者情報共有 新システム 県医師会など 3地域で15年度中運用へ=熊本

2015.01.30

患者情報共有 新システム 県医師会など 3地域で15年度中運用へ=熊本
2015.01.29読売新聞



 ◆病名、服用歴など 医療の質向上期待

 県医師会、熊本大医学部付属病院と県は、県内の医療機関が保有する患者情報をコンピューターに登録し、他の医療機関や調剤薬局が必要に応じて閲覧できるネットワークシステムの構築に乗り出す。情報の共有化を通じ、医療・介護を地域の専門職全体で支える仕組みに転換するのが狙い。2015年度中の運用開始を予定しており、医療の質の向上や医療費適正化につながるか、注目される。(帆足英夫)

 システムでは、1次医療機関などが、情報共有化に同意した患者について、氏名、生年月日、病名、検査歴、服用歴などを、ネットワーク化されたコンピューターに登録。

他の医療機関、調剤薬局、介護事業所や訪問看護施設などは、その患者に対する医療や介護などを行う場合、必要に応じて参照する。

 具体的には、救急搬送された患者に関する過去の治療歴を救命救急医が確認したり、逆に救急搬送先で撮られた関連画像をかかりつけ医が見て退院後の的確な処置に役立てたりすることが可能になる。

日常の診療でも、医療機関が互いに検査歴や投薬歴を確認することでアレルギー情報などを把握し、一層の安全性を確保できる。

 14年度中にシステムの構築に入り、15年度中にモデル地域として阿蘇、水俣・芦北、人吉・球磨の3圏域で運用を開始する。

21年度には、県内全域を網羅する形で、県内の医療機関、調剤薬局などの8割程度の参加を目指したい考えだ。

県によると、県内全域で患者情報の共有化を図る試みは珍しいという。

 ただ、患者の個人情報が登録されるため、情報漏出防止の徹底や、各患者の十分な理解が必要になる。県医師会などは今後、システムの趣旨を広く県民に説明していく方針。

 事業主体は県医師会。熊本大医学部付属病院が、システム構築や患者への周知などで協力する。事業費は約30億円。

厚生労働省の交付金などを元に、県が昨年12月、地域医療充実を目的に創設した基金で事業費の大半を賄う。

 3者による連携協定の締結式が28日、県庁で行われ、蒲島知事は「情報共有化により、県民一人ひとりの実態に合った質の高い医療、介護サービスが可能になる。

3者で緊密に連携したい」とあいさつ。福田稠(しげる)・県医師会長は「患者の安心、安全などのためにシステムを構築する。広く利用してもらいたい」、谷原秀信・熊本大医学部付属病院長は「システム構築が県民に喜んでもらえることを期待する」と述べた。