【関西週刊Biz】病床の区分変更 中小規模の病院、淘汰の恐れ

2014.11.29

【関西週刊Biz】病床の区分変更 中小規模の病院、淘汰の恐れ
2014.11.20 産経新聞



 中小規模の病院経営に暗雲が垂れ込め始めた。救急処置や手術が必要な患者向けの病床に、リハビリや療養目的の患者を長期入院させることで経営難をしのいできたが、病床の運営を適切に分けるように国が求めているからだ。

背景には社会保障費の増大を抑えて財政を健全化させたい国の思惑がある。ただ病院側からは、地域医療を支えられなくなるとの懸念の声があがっている。(南昇平)

 ■制度と実態に矛盾

 病床の区分変更が今年7月に実施された。

 従来は「一般」と「療養」に大別されていた区分が、(1)救命救急のため検査や投薬の頻度が高い高度急性期(2)病状の早期安定を図る急性期(3)在宅治療に向けたリハビリなどを提供する回復期(4)長期療養が必要な慢性期-の4分類にくくり直された。

 病床のあり方について、病院側は現状と6年後の平成32年の見通しを都道府県に報告する義務が課せられ、病床の利用実態が食い違っている場合、知事は28年度以降、是正するよう命令や指示ができる。

 しかし、現在の病院の実態は、区分通りに運営されてはいない。

 大阪府藤井寺市の市立藤井寺市民病院。ここは98床全てが急性期に充てられているが、うち内科系の60床は回復期の患者も受け入れている。

同病院の福田隆秀事務局長は「府には全て急性期でいきたいと報告するが、いまの内科系病床の扱いがクリアできるか(認められるか)どうか…」と懸念する。

 同病院は地域の中では、急性期の患者を受け入れられる医療機関に位置付けられてきた。

府内では全体的に高齢化によりリハビリや療養の需要が増え、急性期の病床が過剰になっている実態がある。

 急性期の病床を大幅に減らすことになれば、医師の配置を含めて地域医療全体の枠組みを変える議論に発展する可能性もある。

 ■医療費削減の狙い

 国が病床区分の見直しに踏み切った背景には、医療費の膨張がある。

労災や全額自費の医療を含まない概算医療費は25年度で39兆3千億円と、この10年間で8兆5千億円増えた。

 これまで、療養病床に入る患者でも一定の基準を満たせば、特例として診療報酬の高い一般病床を利用することが可能だった。

 しかし、こうした病床の運用は診療報酬の高止まりを招くほか、収益確保のために特例を利用する病院もあるとの批判も強まっていた。

 総務省によると、25年度は全国892の公立病院のうち53・6%にあたる478病院が経常収支で赤字だった。

 独立行政法人の福祉医療機構のまとめでは、全国に8540カ所ある病院のなかで赤字の病院の割合は、病床数が99床以下だと28・9%、100~199床では24・7%と2割を超える。400床以上は14・8%で大病院よりも中小の方が苦しい経営状態にある。

 国の病床の区分変更は、中小病院にとって淘汰(とうた)の圧力になる恐れがある一方、地域医療のあり方を見つめ直す契機にもなっている。