介護療養病床に「療養機能強化型」を創設へ

2014.11.07

2015介護報酬改定

介護療養病床に「療養機能強化型」を創設へ

「重篤者割合」など5要件クリアで高報酬の算定可能に


2014/11/7 永井学=日経ヘルスケア 
 11月6日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会で厚生労働省は、介護療養型医療施設に「療養機能強化型」を創設する案を示した。

 11月6日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会で厚生労働省は、介護療養型医療施設(介護療養病床)に「療養機能強化型」を創設し、従来型の介護療養病床より高く評価する基本報酬を設ける案を示した。

 「療養機能強化型介護療養型医療施設」(仮称)は、以下5項目をすべて満たす施設が対象になるとした。

(1)入院患者のうち、重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者が一定割合以上、

(2)入院患者のうち、一定の医療処置を受けている人数が一定割合以上、

(3)入院患者のうち、ターミナルケアを受けている患者が一定割合以上、

(4)生活機能を維持改善するリハビリテーションを行っていること、

(5)地域に貢献する活動を行っていること――である。

 算定要件の(1)~(3)の「重篤な身体疾患」「一定の医療処置」「ターミナルケアを受けている患者」の定義など、要件の詳細は今後詰める。

また、(4)の生活リハビリと(5)の地域貢献活動の2つの要件については、「生活リハビリや地域貢献に目を向けてほしいという理念を示したもので、高いハードルを設けるつもりはない」(厚労省老人保険課)という意向を示した。



介護療養病床の「機能の存続」を図る
 
新しい基本報酬の創設の主旨は、介護療養病床の「機能面」に着目した重点評価を行うというもの。

介護療養病床の入院患者には中重度者が多く、看取りやターミナルケアなどの長期療養を担っていることを考慮すると同時に、経管栄養、喀痰吸引などの医療処置の実施といった機能を引き続き確保することは、地域包括ケアシステムの構築に向けて医療ニーズの高い中重度者対応を強化するために必要という論点だ。

 今年度実施の「介護サービス事業所における医療職の勤務実態および医療・看護の提供実態に関する横断的な調査研究事業」(速報版、9月10日時点の回収データに基づく)では、介護療養病床の入院患者のうち

医療区分2または3の患者は約25%で、特別養護老人ホームの16.1%、介護老人保健施設の14.6%と比べて高い割合を示した。

また施設での処置については、介護療養病床で経管栄養を受けている患者の割合は41.5%で、特養(9.5%)、老健施設(8.7%)より高かった。同様に摘便(34.5%)、浣腸(28.6%)、喀痰吸引(28.1%)などの処置を受けている割合も他の介護保険施設より高い。

 介護療養病床を巡っては2005~2006年にかけて、小泉政権下の経済財政諮問会議から医療費削減を強く迫られた厚労省が、療養病床約37万床(当時)を再編し、介護療養病床から老健施設などへの転換を図った上で2011年度末に廃止する方針を打ち出した

しかし、廃止決定から実施まで5年以上あった上、現場からは介護療養病床には重度の患者が入院するケースが多く、医療処置も多いことから老健施設などへの転換は馴染まないとの意見が上がったため転換が進まず、民主党政権下の2011年6月の介護保険法改正で、厚労省が廃止期限を2017年度末まで6年延長した経緯がある。

 再び自民党に政権交代した後、安倍政権下の2014年2月の衆議院厚生労働委員会では、田村憲久厚生労働大臣(当時)が介護療養病床の廃止について言及し、実態調査を踏まえた上で、必要であれば残すことを含めて判断する旨を答弁していた。

介護療養病床は2006年4月時点で12万700床、2010年4月時点で8万7142床、2014年4月時点で6万7318床(厚労省の「病院報告」より)。今回の提案は廃止を巡る議論とは別に、中重度者の受け入れや看取り、医療処置といった介護療養病床が現在担っている機能を存続・強化するための布石と言えそうだ。