COPD増悪の入院患者にはまず非侵襲的換気を 侵襲的な機械的換気に比べて院内死亡や院内肺炎リスクが減少

2014.11.19

JAMA Intern Med誌から

COPD増悪の入院患者にはまず非侵襲的換気を

侵襲的な機械的換気に比べて院内死亡や院内肺炎リスクが減少


2014/11/18

大西淳子=医学ジャーナリスト 
 

 
 重症の増悪により入院した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対する、入院当初の非侵襲的換気(NIV)では、侵襲的な機械的換気(IMV)に比べて院内死亡や院内肺炎のリスクが有意に低いことが、大規模後ろ向き研究により示された。

米Baystate Medical CenterのPeter K. Lindenauer氏らが、JAMA Internal Medicine誌電子版に2014年10月27日に報告した。

 複数の小規模な臨床試験で、重症の増悪を生じたCOPD患者に対するNIVは挿管の必要性を下げ、短期的な生存率を向上させることが示されている。

それは、NIVを用いることで、IMVに関連する合併症、例えば人工呼吸器関連肺炎や気圧障害などの回避につながるためと考えられている。

COPD患者へのNIVは増加しているが、NIVを日常診療に用いた場合の有効性については、ほとんど明らかになっていなかった。

 COPD患者に対するNIVとIMVの転帰への影響を比較するために、後ろ向きコホート研究を実施した。

 米国内の病院でPremier Inpatient Databaseに情報を登録している420施設に、2008年1月から2011年6月に、COPDの増悪で入院した40歳以上の患者のうち、入院当日または翌日に何らかの機械的換気を受けた2万5628人(平均年齢68.5歳、女性56.6%)を分析対象にした。

 患者の年齢、性別、人種、精神状態、主な健康保険などに関する情報と、併存疾患の有無、COPDの重症度、入院時の肺炎の有無、入院から2日以内の投薬内容、入院期間中の換気戦略の変化などに関する情報を得た。

 主要評価項目は院内死亡とし、副次的評価項目は院内肺炎、入院期間、費用、退院から30日以内の再入院などに設定した。

 対象患者のうち1万7978人(70%)にNIVが、7650人にIMVが実施されていた。NIVが実施されたが、その後IMVに切り替えられた患者(NIV失敗群)は全体の15.3%だった。

IMV群と比較すると、NIV群の患者は高齢で、過去1年間にCOPDによる入院歴を有する患者が多かったが、合併症は少なく、入院時に肺炎を併発していた症例も少なかった。

 院内死亡は、NIV群4.8%、IMV群8.6%、NIV失敗群では13.8%だった、傾向スコアを調整して分析したところ、NIV群はIMV群より死亡リスクが低く、オッズ比は0.54(95%信頼区間0.48-0.61)だった。

 NIVの実施は、院内肺炎リスクも低減していた(オッズ比0.53、0.44-0.64)。さらに、NIVの方が医療費は有意に安く(0.68、0.67-0.69、金額にすると5673ドル)、入院期間も短かった(0.81、0.79-0.82)。また、30日以内のあらゆる原因による再入院率(1.04、0.94-1.15)とCOPDによる再入院率(1.05、0.91-1.22)に差はなかった。

 傾向スコアマッチングを行う変数を増やしたところ、上記の関係は弱まったが、引き続きNIVの利益は有意だった。例えば、院内死亡のオッズ比は0.64(0.55-0.74)だった。

 サブグループ解析を行ったところ、NIVの利益は、対象を85歳未満の患者に限定しても変化しなかった(オッズ比0.51、0.45-0.58)。その一方で、併存疾患をより多く有する患者に対するNIVの利益は減少した。併存疾患が少ない患者におけるオッズ比は0.30(0.22-0.40)、併存疾患が多い患者では0.71(0.61-0.83)だった。肺炎併発患者の利益も小さく、入院時に肺炎があった患者のオッズ比は0.79(0.65-0.97)、肺炎ではなかった患者は0.46(0.40-0.53)だった。

 感度解析において、調整されていない強力な交絡因子の存在を仮定してみたものの、NIVの強固な利益が示された。

 大規模な後ろ向きコホート研究によって、COPD患者に対する入院当初におけるNIVの実施は、IMVを行った場合に比べて、院内死亡リスクを下げ、入院期間と医療費低減効果があることも示された。

 原題は「Outcomes Associated With Invasive and Noninvasive Ventilation Among Patients Hospitalized With Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease」、概要は、JAMA Intern Med誌のWebサイトで閲覧できる。