「地方行政独立法人 那覇市立病院」への道

2014.10.20

「地方行政独立法人 那覇市立病院」への道

那覇市立病院 理事長・兼病院長
與儀實津夫


要 旨
那覇市立病院は,昭和 55 年に開設され今年創設 30 年を迎える.
開院以来赤字経営が続き,病院開設から
10 数年を経た当時,赤字に陥った市立病院廃止,身売り,県立病院との合併論などが,市議会で議論された.

自ら病院改革をし,市民に必要とされ,存続する市立病院を目指して再出発をはかった.

その結果,平成 11年には,不良債務の解消を果たすことが出来た.平成 15 年に地方公営企業法の全部適応を実施し,自治体病院中では採算性の高い病院と評価されるまでになった.

しかし,その後医療を取り巻く情勢は悪化をたどり診療報酬の切り下げなどによって平成 18 年後は,5000 万の赤字を計上することになった.

看護師の配置を「7 対 1」にすれば診療報酬の加算が得られ赤字解消の一助になると考えられたが,定数条例に縛られそれもかなわなかった.

毎週開かれる管理会議のなかでたどり着いた最善と思われる打開策が非公務員型の地方独立行政法人であった.病院長として,なぜ「地方独立行政法人 那覇市立病院」への道を選ばなければならかなったかを那覇市立病院のこれまでを振り返りながらまとめた.
 

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なぜ公務員をやめたのか
那覇市立病院 副院長
久高弘志
要 旨

那覇市立病院は,平成 20 年 4 月より全国自治体病院に先駈けて地方独立行政法人となり,それに伴い職員の身分も公務員型から非公務員型となった.

公務員の定数条例から解放され,97 人の看護師を正職
員に採用し,7:1 看護加算を取得出来た.

また,看護師以外の職員も安定して確保することが出来るようになった.
独法化後経営状態の改善が見られ,総務省の病院経営改革事例集のなかで那覇市立病院が経営改革成功例として紹介されている.


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地方独立行政法人制度の一考察
~続く人々へのメッセージ~
那覇市立病院 事務局長
宜保 哲也
 
要 旨

1 自治体による病院運営制度のあらまし
自治体による病院運営手法について,従来の地方公営企業の他に近年指定管理者制や地方独立行政法人制が新設されたが,それらの制度の制定趣旨と特徴を述べる.

2 市役所(行政)の仕事の仕方と病院の仕事の仕方
従来の地方公営企業としての病院運営を行政の仕事の仕方と位置づけ,根底に民主主義を実現するためのシステムに本来的に付随する「民主主義のコスト」を含み非効率的にならざるを得ない,

これに対し病院の運営は,行政システムとは本質的に異なるものであることを分析する.独法制度はイギリスの行革手法である企画立案部門と事業執行部門を分離したエージェンシー制度をモデルに策定された.

3 独法制度の概要
独法制度の特徴は

①病院が行うべきことを中期目標として首長が指し示すこと

②あとは病院へお任せすること

③結果責任
は厳しく問うこと,の3点にある.

なかでも経営においては②の意義が大きく,結局独法制度とは,行政や議会から病院現場への権限委譲であり,具体的には人事決定権,給与決定権財務権の移譲とみることができる.よって,迅速で柔軟な対応が可能になるのは当然と論証する.

4 本院独法化の真の目的
独法化の真の目的は何かといえば,百年の大計として生き残りをかけて,自主的・自立的病院運営を確立し,医療者から選ばれる病院づくりをすることである.今後は全国の公私優良病院の長所を吸収し,官民が融合した新たな病院経営モデルを構築すべきであると提言する.


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那覇市立病院 地域医療連携強化への取り組み
那覇市立病院 地域医療連携室
仲眞藤子 外間尚美 大浜 判 樋口美智子
金城 勉 比屋根健 島袋 洋 與儀實津夫

要 旨

地域医療支援病院を目指す当院にとつて地域医療連携の強化は避けては通れない問題である.

当院は昨年4 月に公営企業法全部適応から非公務員型の地方独立行政法人へ移行した.法人の中期目標でも地域連携の充実に努めることが掲げられた.

そこで,まず取り組む課題として上がったのが登録医の増加対策であった.昨年の登録医数は 36 人,これを平成 20 年度中に 200 人にすることを目標にして,プロジェクトチームを立ち上げ対策を行った.また,精神科医療に対する病病連携の取り組みについても合わせて報告する.

登録医を増やす対策として,今までに当院へ患者紹介の実績がある医療機関を地域連携システムから抽出
し,連携の案内と登録のお願い文を約 900 施設へ郵送した.

また,沖縄県が開設している「うちなぁ医療ネット」や各地区医師会のホームページからの情報も活用した.近くの医療機関については直接訪問して登録医への参加をお願いした.結果,登録医数 36 人が 518 人となった.

(登録施設数 433 施設)精神科医療の連携施設も 0 施設から 5 施設となった.地域医療連携の強化対策を行った結果,登録医数は著しく増加した.
紹介率や逆紹介率も増加し,平成 21 年 4 月からは地域医療支援病院の基準も達成できている