検証 光市合併10年 <下> 周辺部の思い 病院再編にくすぶる反発 「中山間」拠点づくり進む

2014.10.14

検証 光市合併10年 <下> 周辺部の思い 病院再編にくすぶる反発 「中山間」拠点づくり進む
2014.10.11 中国新聞



検証 光市合併10年 <下>

周辺部の思い  病院再編 くすぶる反発

「中山間」拠点づくり進む

 旧大和町の光市立大和総合病院(岩田)で9月6日に開かれた病院祭。院内の見学や健康診断コーナーが親子連れやお年寄りでにぎわう中、市川熙市長も駆け付け、長期療養やリハビリを担う病院への転換で財務状況が改善したと強調した。

 病院祭を訪れた河内エミ子さん(70)=三輪=は「合併で病院は『遠い』存在になった。町役場も支所になり、商店街も寂れた」と、浮かない表情だった。
2年前、角膜の炎症に伴う手術を同病院でなく、約10キロ離れた同市立光総合病院(虹ケ浜)で受けた。以来、2カ月に1回、徒歩とバスで30分かけて通っている。

病床稼働率95.8%

 2004年10月の合併後、市は旧光市と旧大和町に1カ所ずつある公立総合病院の存廃問題で揺れ続けた。

市の財政難を理由に、大和総合病院の一般病床の全廃も一時浮上。市川市長は10年、「光総合病院」を急性期医療の拠点、
「大和総合病院」を慢性期医療の拠点にする再編を決断した。

 大和総合病院の外来機能は縮小。
新臨床研修制度の導入が招いた都市部への研修医集中が追い打ちを掛ける。
眼科と泌尿器科は医師を確保できず休診。
小児科と整形外科の医師も非常勤となった。
一方で病床稼働率は昨年度、95・8%。高齢化の進む地域のニーズもあり、再編は数字の上で効果を上げている。

 旧大和町の人口は9月末時点で7283人。合併時に比べ921人減った。
住民団体代表として大和総合病院の機能維持を訴えてきた小川泰治さん(83)=三輪=は「人口が少ない地域が声を上げても市には届かない」と、病院問題への反発が一体感醸成の妨げになったと指摘する。

 その旧大和町の玄関口であるJR岩田駅周辺に、市は公共施設を集約する取り組みを始める。
県の「コンパクトなまちづくりモデル事業」に選ばれ、市大和支所や公民館などを一体化した施設を18年度、新築移転する市営住宅を20年度に完成させる予定だ。市都市政策課は「高齢者が安心して暮らせるまちづくりにつながる」と説明する。

50人の雇用生む

 合併で拡大した中山間地域の対策を迫られる市。その拠点の一つとなりつつあるのが、11年7月にオープンした市農業振興拠点施設「里の厨(くりや)」(束荷)だ。市全域から集まる米や野菜が人気を集め、3年目の年間売り上げは2億6200万円。目標の1億円を大きく上回り、パートを中心に50人の雇用も生まれた。

 束荷の農事組合法人「つかり」の有末浩子さん(71)は、約20アールの田畑でコメやトマトなどを栽培。「販売額を伸ばせるよう出荷時期などで工夫したい」と意欲を語る。市は生産者が加工、販売まで手掛ける6次産業化の拠点にする考えだ。

 合併から10年。旧大和町では地域の将来への不安は強い。住民の声を、あらためてくみ取る姿勢が市に求められる。(松尾直明)

クリック 光市の公立病院再編

 市中心部にある光総合病院を救急医療などを担う地域医療の拠点に位置付け、市北部の大和総合病院を後方支援の長期療養を主体にした病院に機能を分ける再編で、2010年度に着手。
光総合は一般病床210床を維持し、18年度予定の移転新築に伴い放射線科と総合診療科を新設する

大和総合は一般病床を40床に減らして療養病床を203床に増やし、回復期リハビリテーション病棟を新設した。
2病院の累積赤字はピークの11年度に26億1千万円に達したが、機能分化後の13年度には22億9600万円と3億1400万円圧縮された。

【写真説明】大和総合病院であった病院祭で経営改善の成果を力説する市川市長(左端)