(クローズアップ茨城)新中核病院、見えぬ建設 単独整備構想、国が疑問視 /茨城県

2014.10.10

 

(クローズアップ茨城)新中核病院、見えぬ建設 単独整備構想、国が疑問視 /茨城県
2014.10.08 朝日新聞


 筑西、桜川両市で実現をめざした新中核病院計画が正念場を迎えている。

筑西市が単独整備することで両市が合意したのは今年3月。
7カ月が経つのに建設への動きがまったく見えない。

合意した内容に、国が極めて厳しい姿勢を示したからだ。

今月、医療・介護制度を大きく見直す「地域医療・介護推進法」の一部が施行され、県は来年度から地域医療構想をまとめる作業に入る。

こうしたなか、民間病院を加えた再編案が新たに示された。局面打開につながるのか、注目される。


 新中核病院計画は、筑西・桜川地域の急性期医療態勢の再構築をめざし立案された県の計画だ。

国の地域医療再生臨時特例交付金を充て、筑西市民病院と県西総合病院(桜川市)の2公立病院を再編統合して300床の病院をつくる計画だった。

県西総合病院の存続を強く求める桜川市議会の意向などもあり、計画は難航。
3月9日、新中核病院は、筑西市が単独整備することなどで両市が合意した。

 5月以降、両市と県は数回の勉強会を開いているが、病院建設に向けての進展はない。

合意には県西総合病院を172床の病院として残すことも含まれた。

両市で設けた組合が担っていた病院の運営・整備は桜川市が単独で進める。

桜川市の大塚秀喜市長は4月以降の病院側との話し合いで、老朽化した病棟や施設の建て替えと、「公設民営」の運営を打ち出した。


 ●「財政支援は疑問」

 国の厳しい姿勢が明らかになったのは県議会9月定例会。
橋本昌知事が新中核病院関連の答弁で示した。

「国からは、両市が単独で整備計画を進めていくのであれば将来の収支や医師確保の見通しが立たなくなることが明らかであり、再生基金や交付税措置などによる財政支援を行うことは疑問であるとの大変厳しい見方が示された」
「独自に進む方向を抜本的に見直し、病院の規模や診療機能などについて互いに整合性のとれた整備計画を策定するよう強く求められている」

 新中核病院計画は筑西市民(173床)、県西総合(299床)の2病院を1病院に再編統合し病床数も1割減らす計画だった。

基準病床数を既存の病床数が大きく上回る地域だからだ。

3月の両市による合意では、県西総合病院と新中核病院の病床数が計472床で減らなかったことから、「病床移動に過ぎない」との指摘もあった。

 県幹部は「総務省の見方が厳しい。両市の合意内容を病院の再編統合とはとらえていない」とし、計画への国の特例交付金の充当や病院整備に不可欠とも言える病院事業債の起債なども難しくなるのではないかと分析する。


 ●「早急に方向性を」

 こうした事態を受け、筑西市の須藤茂市長と桜川市の大塚市長が協議。

先月下旬、橋本知事を訪れて地元の民間病院(約80床)を加えた新たな再編案を提示した。

300床の新中核病院はそのままに、合意で172床とされた県西総合病院と民間病院を180床ほどの病院に再編。
新医療法人を設立して運営を委ねる構想で、両病院には打診したという。

 県は3病院が二つに再編されることなどから理解は示す。

ただ、数のうえだけでの再編ではなく、急性期医療を担う新中核病院との機能分化と連携を強調する。

急性期を脱した患者の受け入れや在宅患者の急変時の引き受けなど、機能の明確化を求める。県幹部は「市長が中心となって病院関係者と構想を詰めてほしい。

そのうえで、県としても国に示せるよう努力したい」などと話す。

 大塚市長は「筑西市としっかり話し合う。国の理解が得られるよう、病院の将来像や新中核病院との役割分担などについて関係者で協議を重ね、早急に方向性を出したい」と語る。

須藤市長は「新中核病院計画が問われる重大な局面」とし、「最後のチャンス。全体の病床数の再考なども踏まえ実現に向けて大塚市長と煮詰めたい」と話した。(吉江宣幸)


 ■県は「時間がない」と強調 背景に「地域医療・介護推進法」施行

 3人に1人が65歳以上になる2025年を見据え、医療・介護制度を大きく見直す「地域医療・介護推進法」が6月に成立、一部が今月施行された。病床機能報告制度で、各医療機関は病棟単位で医療機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の四つに分けて都道府県に報告しなければならない。

都道府県はこれをもとに15年度から2次医療圏ごとに「地域医療構想」をまとめる。都道府県の役割と権限が強化される。

 県は新中核病院計画について時間がないことを強調する。

理由の一つは、国の特例交付金を活用するには今年度中の実施計画着手が必要だからだ。
それと地域医療・介護推進法の施行だ。
筑西、桜川両市は「筑西・下妻2次医療圏」に入る。
県は「新中核病院計画がはっきりしなければ、この医療圏の地域医療構想をまとめることはできない」と話す。