社福法人改革―出発点は情報公開だ

2014.10.03

 社福法人改革―出発点は情報公開だ

2014年9月23日(朝日新聞 社説)


 
 社会福祉法人は、お年寄りや子ども、障害を抱える人たちへの幅広いケアを担っている。

 その社福法人をめぐる問題点を洗い出し、改善するための論議が政府内で続いている。

 全国の総数は1万9千を超える。限られた財源をやりくりしつつ地域の暮らしに大きく貢献している法人は少なくない。

 一方で、マイナスの指摘もあとを絶たない。

資金を多くため込んでいる、運営が不透明、理事長職の世襲や天下りの弊害が目立つ、などの批判がある。

 民間の法人でありながら、株式会社とは異なる「非営利法人」の一つとして、社福法人は政府から補助金や税制優遇を受けている。

少子高齢社会でますます重要になる福祉事業の担い手として、活動を展開していくための課題は何か。

 財務諸表や、支給された補助金、活動の内容、役員の経歴や報酬など、運営全般のデータを公開することが不可欠だ。政府は全国のデータベースを整え、だれでも簡単に比較・一覧できるようにしてはどうか。

 社福法人制度は、福祉への需要の急増が予想された昭和20年代、行政が事業の対象者や内容を決めた後の委託先として始まった。そのため、行政からの強い規制と優遇措置がセットとされてきた。

 転機は、00年度からの介護保険制度だ。社福法人のほか、株式会社やNPO法人などもサービス提供者とされ、利用者が契約先を選ぶことになった。

 民間の競争にさらされる社福法人について、政府は当時から改革の対象とし、サービスの向上や運営の透明性を求めた。

 それが徹底しないまま、むしろ、ひずみが拡大してきたのが現状ではないか。

 改革の論点は情報公開にとどまらない。

例えば税制だ。介護事業で得た収益の場合、株式会社やNPOには法人税が課されるが、社福法人は非課税だ。平等な競争のために、税率はそろえていくべきだろう。

 社福法人は総じて小規模で基盤が弱い。

社福法人同士の合併や権利移転を促すために、「持ち株会社」的な仕組みを導入する方針を政府は打ち出した。

 民間法人として経営を安定させるうえで「規模」は大切だ。ただし並行して透明性を向上させるのは必須の条件である。

 厚生労働省の有識者会議が7月にまとめた報告書は、こう指摘した。「率先して改革しなければ、地域住民の信頼を失い、未来を断ち切られかねない」

 この危機感を大切にし、改革を進めてほしい。