[シニア]転倒防止へ室内見直し 動線上を整理 段差・階段に器具設置

2014.09.29

[シニア]転倒防止へ室内見直し 動線上を整理 段差・階段に器具設置
2014.09.26 読売新聞



 高齢になると脚の力が衰えて転びやすくなる。転倒して骨折すると寝たきりになる恐れもある。そうした事態を避けるため、家の中でよく歩く場所に物を置かないようにしたり、転倒を防止する器具を取り付けたりすると安心して生活できる。

 厚生労働省の調査によると、介護が必要になった高齢者のうち10人に1人は、「骨折・転倒」が介護のきっかけとなった。4月に発足した日本転倒予防学会理事長で、日本体育大教授の武藤芳照さんは、「高齢になると筋肉の柔軟性が低下するので、脚を上げたつもりでも実はあまり上がってなく、段差につまずいて転倒することも多い」と話す。

 家の中での転倒を防ぐために、すぐにできることは何だろうか。

 「動線上に物を置かないようにしましょう」と呼びかけるのは、地域医療機能推進機構東京新宿メディカルセンターで主任理学療法士を務める上内(かみない)哲男さん。

 コードやケーブルは足に引っかかりやすいので、壁沿いをはわせたり、カーペットの下を通したりする。また、カーペットの端がめくれていても引っかかるので、両面テープで留めて浮かないようにする。

 体力が衰え、タンスの上などに物を積み重ねたままにしている高齢者も多い。荷物を取るために踏み台に乗って手を伸ばし、荷物を持って下りる動作は、バランスを崩して転倒しやすい。上内さんは「目線より高いところに物を置かない方がいい」と話す。

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 もっとも、整理整頓するだけでは安全を十分に確保することは難しい。「『夫や妻の足取りが危うくなってきた』と気づいたら、転倒予防の器具を取り付けたりして室内を手直しした方がいい」と話すのは、1級建築士の中谷俊治さん。

 最近は、家の中に取り付け、転倒を防止する器具がホームセンターなどで売られている。インターネット通販からも購入できる。

 日本家屋の場合、畳と板の間の間に敷居があり、2~3センチの段差があることが多い。そのため、中谷さんが勧めるのは、段差の手前に、同じくらいの高さの緩やかなスロープを置いて段差を埋めることだ。東急ハンズ渋谷店(東京)では、長さ740ミリ、高さ15~30ミリの棒状の木製スロープを1280~2980円(税抜き)で売っている。設置場所によっては、のこぎりで切って使う。

 「滑りやすく、足元が見えにくい階段には滑り止めをつけるのが鉄則」と中谷さん。最近は、照明などの光を蓄え、消灯した後も光り続ける樹脂製の滑り止めもある。より手軽な滑り止め用のテープも2000円程度から売っている。

 玄関の段差も大きいと、つまずいたりバランスを崩したりしやすい。そのため、手すりを取り付けると出入りが楽にできるようになる。同店ではネジで壁に取り付けられる手すりを1880~4180円(税抜き)で販売している。体重がかかるため、工事業者に依頼して壁に下地を設置するなど、補強してから取り付けてもらうと一層安全だ。

 室内を整理したり器具を取り付けたりして、さらに筋力を保つことができればより安心だ。武藤さんは「ふだん通りの暮らしが筋力の自然な訓練になる。家の中の危険を減らし、普通に歩いて生活することが、転倒予防には欠かせない」と話している。