自治体破綻:富津市が18年度に破綻の恐れ 千葉

2014.09.24

自治体破綻:富津市が18年度に破綻の恐れ 千葉

毎日新聞 2014年09月21日)

 
 千葉県富津市は2013〜19年度の中期収支見込みを公表し、15年度決算で実質収支が赤字となり、18年度には「破綻状態」と判断される財政再生団体に転落する見通しであると明らかにした。

15年度には市の貯金にあたる財政調整基金が底をつくなど厳しい状況にあり、市は破綻回避のため、公共サービス範囲の見直しや職員の削減などに乗り出す方針。

佐久間清治市長は「もはや従来の取り組みだけで状況を克服することは困難。行政の経営そのものを改革、実行していかなければならない」と話している。
   
 
   
 「現在の財政状況は破綻寸前状態と言える。これまでの先送り体質を猛省する」。先月29日に臨時記者会見を開いた市幹部は厳しい表情をみせた。

 市によると、今年度の決算見込みは歳入が160億1300万円、歳出が160億300万円で辛うじて黒字となる。
だが、財政調整基金残高はわずか1億5000万円。「場当たり的に取り崩してきた」(幹部)ため、15年度末には残高がゼロになり、決算も3億2400万円の赤字となる見通しだ。

 さらに19年度までには累積赤字額が約28億円に達し、18年度に実質赤字比率が2割を超え、北海道夕張市のように国の管理下で財政再建する財政再生団体に転落する恐れがあるという。

 市は1999年度に「財政非常事態宣言」を出し、行財政改革に取り組んできた。
05年に宣言を解除したが、税収は落ち込む一方で、職員の人件費や福祉関係の歳出が膨らみ続けている。今後、有識者による委員会を設置し、年度内に経営改革プランを策定。滞納額が8億円以上に上る市税の徴収強化▽人件費の削減▽民間委託の推進−−などを軸に、破綻回避に取り組みたいとしている。【円谷美晶】

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財政破綻の夕張市「1秒に67円ずつ借金返済)財政破綻の夕張市「1秒に67円ずつ借金返済している」と市長 2014.06.22 SAPIO2014年7月号 
 

超高齢化・人口減少は特に地方において顕著で、2007年に財政破綻した北海道夕張市では、過去50年で人口が
10分の1以下に激減した。その夕張市の再生に取り組むのが、2011年に30歳の若さで市長に当選した鈴木直道氏
 (33)だ。
  東京都職員という安定した職を捨てて月給25万9000円の市長に転身。年収は200万円近く下がり、選挙で落ち
 れば職を失うリスクもある。それでも夕張再生のために奮闘する同氏は、人口減少に直面した国家に何が足りな
 いと考えているのか。

──夕張市長就任後すぐに打ち出したのが、人口減少に対応して都市機能を中心部に集約する「コンパクトシテ
 ィ」の計画だった。
  
 鈴木:夕張はもともと炭鉱の町として栄え、最盛期の1960年には人口12万人弱の都市でした。それが石炭産業の
衰退によって減少に転じ、さらには財政破綻により、昨年ついに1万人を切った。にもかかわらず、インフラは
10万都市のスケールのまま残っていたのです。
  
  現在約5400世帯の夕張市には公営住宅が約3700戸あります。炭鉱会社が撤退する時に市が引き取ったものがほ
 とんどで、世帯数に対する割合は全国で一番高い。入居率は低いのに維持費だけで年間数億円が費やされてきま
 した。コスト削減と行政サービス効率化、持続可能な地域社会の構築のために住宅再編が急務でした。
  
──50年あまりの間に有効な対策が取られなかったのはなぜか。
  
 鈴木:夕張に限った話ではありませんが、「選挙」の問題があったと思います。住民が「市長たる者は人口を増
やして地域を活性化するために働いてほしい」と考えるのは自然なことです。夕張では石炭産業の衰退以降は
「炭鉱から観光」をキャッチフレーズにリゾート開発に邁進した。「10万都市の栄光をもう一度」という考え方
で一時期は評価もされましたが、結果莫大な借金を抱えてしまった。市内には今も立派なホテルが複数あります
 が、すべて市の所有で固定資産税は一銭も入ってきません。
  
──政治家が景気のいい話ばかりをして、「負の遺産」が残った。
  
 鈴木:もちろん夢を語るのも政治家の仕事です。ただ、これからは現実を直視して未来に備えることも必要です。
コンパクトシティを唱える都市は少なくありませんが、その多くは中心市街地を活性化して緩やかな住民移転を
促していくスタイルです。
  夕張では全国で初めて、人口減少を前提にして町の集約化を進めています。東京でさえ2020年のオリンピック
開催以降は人口が減っていくと予測されているのに、現実的に考えれば夕張だけが人口を大幅に増やす姿は描き
 にくい。

──夕張市が直面する高齢化や人口減少、財政健全化などの問題は国や他の自治体が取り組まなければならない
課題そのものだ。
  
 鈴木:私もそう思います。夕張は返済すべき借金353億円のうち、既に50億円以上を返済しました。1秒に67円ず
 つ返済している計算になります。一方で2007年に発表された数字では国の借金は1秒間に19万円ずつ増えていて
財政健全化は後回しです。
  
──事実上の破綻を経験しなければ、危機意識は生まれないのか。
  
 鈴木:そういう側面はあると思います。夕張は財政再生団体になって職員が260人から100人に減り、年収は40%
カットという状況が強制的に生まれ、住民にも危機意識を共有してもらえている事情はあります。
  
  大事なのは、夕張が地域の再生と財政の健全化を同時に成し遂げることです。2012年度には市内の工業団地3
区画が完売。道外企業の誘致成功は14年ぶりのことです。お金はかけられない中でも、少しずつですが地域再生
を進めています。夕張が成功すれば、他の地域のモデルケースになれる。これまでは「夕張のようになるな」が
地方自治体運営の合言葉でしたが、課題先進地域として成功事例になることが、国の将来にも寄与すると考えて
 います。