産科医不足、福島など9県で「危機的状況」

2014.09.22

産科医不足、福島など9県で「危機的状況」
読売新聞 9月20
 

当直回数が多く、成り手が不足している産科医について、都道府県間で最大2倍程度、産科医数に格差が生じていることが日本産科婦人科学会などの初の大規模調査で分かった。

 福島、千葉など9県では、35歳未満の若手医師の割合も低く、将来的な見通しも立たない危機的状況にあると報告されている。

 全国9702人の産科医の年齢(今年3月末時点)や、昨年の出産件数などを調べた。

人口10万人当たりの産科医数は、茨城が4・8人で最も少なく、最も多い東京と沖縄の11・1人と倍以上の開きがあった。

 また調査では、35歳未満の割合、産科医1人当たりの出産件数など6項目で全体的な状況を見た

福島、千葉、岐阜、和歌山、広島、山口、香川、熊本、大分の9県は6項目全てが全国平均よりも悪く、「今後も早急な改善が難しいと推測される」とされた。

 中でも福島は、産科医が人口10万人当たり5人(全国平均7・6人)と2番目に少なく、平均年齢は51・5歳(同46歳)と最も高齢で深刻さが際だった。

東日本大震災や原発事故も影響しており、同学会は昨年5月から全国の産科医を同県内の病院に派遣している。

 調査をまとめた日本医大多摩永山病院の中井章人副院長は「国や各自治体に今回のデータを示し、各地域の対策を話し合いたい」と話している。


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平成25年4月12日

産婦人科勤務医の勤務条件改善のための提言

公益社団法人 日本産科婦人科学会
 理事長 小西 郁生

 報道によりますと、最高裁判所は、平成25年2月12日、奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が当直勤務の時間外割増賃金を県に求めた訴訟の上告審で、県の上告を退け、当直を時間外労働と認める決定を下しました。

これにより、県に未払いの割増賃金の支払いを命じる一、二審判決が確定することになりました。
 

 分娩を取り扱う施設の産婦人科医は、分娩対応を24時間体制で行う必要があります。

適正な勤務条件を確保するためには、交代制勤務をとることが望ましいと考えられますが、そのような体制が可能な分娩取扱医療機関は、わが国ではごくわずかしか存在していません。

大多数の施設では、夜間・休日について宿日直体制をとり、本来は「常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみ」が認められている宿日直勤務において、産婦人科医にとっての通常の業務である分娩の管理および処置等が行われている実態があります。

今回の訴訟に対する最高裁判所の判断は、そのような勤務において、適正な報酬が支払われていない実態の是正を求めたもので、きわめて画期的なものと考えられます。
  

分娩取扱施設の減少が大きな社会問題となっている今日、産婦人科医を増やすことは、わが国の産婦人科医療の持続可能性の確保のために必要不可欠です。


しかし、産婦人科医の過酷な勤務に対して適正な報酬が支払われていないとすれば、そのような領域に新たな人材を呼び込むことは到底できません。
  

わが国の産婦人科医療の安定的確保と向上に責任を有する日本産科婦人科学会として、今後もこの問題の解決のために積極的に取り組んでまいります。そして、この問題を解決する方向に導くために、関係者が以下のように対応することを提言いたします。

                 記


1.産婦人科医は、分娩取扱施設の大規模化と交代勤務制の導入を推進すること。


2.産婦人科医は、他の診療科の医師および他職種との連携を強化することを通じて、勤務環境の改善に努力し、産婦人科医としての本来業務の遂行に支障のない体制の整備に努力すること。


3.医療機関の責任者は、産婦人科医の労働実態を正確に把握し、医師及び医師以外の職種の職員の増員を行うこと等によってその勤務条件の緩和のために最大限の努力を行うとともに、時間外労働に対して適正な割増賃金を支払う等、適切な処遇を行うこと。

4.国は、医療機関が赤字に陥ることなく適正な時間外割増賃金を支払うことが可能なよう、診療報酬等の対応を適切に行うこと。

以上