世界規模の感染症リスクに備えよう

2014.09.08

世界規模の感染症リスクに備えよう
2014/9/8付 日本経済新聞  社説



 これまで熱帯など地域的に限られてきた感染症の爆発的な流行は先進国にとっても対岸の火事ではない。

アフリカ起源の西ナイル熱が10年ほど前に米国に入り定着した例もある。

 感染症は備えの薄い途上国で猛威を振るい、隙あらば国境を越え世界に広がる。

グローバルな脅威であり、国際社会が専門家や資金、技術を結集して世界規模で対応する必要がある。

 国内のデング熱は東京の代々木公園以外での感染が疑われる患者が新たに確認された。

さらなる感染の広がりが心配だ。とりあえずは公園の立ち入り制限や蚊の駆除など必要な手段を着実に講じていくことだ。
冬になればウイルスを媒介する蚊の生息が難しくなり収まると期待される。

 一方、西アフリカのエボラ出血熱は勢いを増し収束の兆しがみえない。

現段階で日本国内に波及する可能性は小さいが、このまま拡大が続けば西アフリカ以外の国に飛び火するリスクも増す。アフリカ経済への影響も懸念される。

 世界保健機関(WHO)は6~9カ月で流行を抑え込むロードマップ(行程表)を示し各国に支援を呼びかけている。
抑え込めるかどうかは国際協力にかかる。

 現地では医療スタッフが不足し感染防止に必要な装備に事欠く状況が続いているという。

封じ込めには感染者と接触した人を追跡して診断し、必要なら隔離して拡大を食い止める手立てが不可欠だが、現地ではこれができていないようだ。

日本も人や技術などできるだけ協力すべきだ。

 中長期的には途上国の保健施設の整備や医療従事者の育成などで支援が必要だろう。

 新しい治療薬の開発も重要だ。
途上国ではやる感染症の薬はがんの薬などと違い収益性が低く、実用化が進みにくいとされる。

 エボラの患者に今回、未承認薬が投与された。有望な新薬候補はある。

安全性を確認し市場に出すのを後押しする仕組みが必要だ。

 日本政府と製薬企業がつくったファンドが感染症の新薬づくりに資金を投ずるなど新しい動きも出てきた。創薬でも日本が貢献すべきことが多い。