地域を見つめて=松本市四賀の会田病院、診療所へ転換案も 地域医療の在り方は? 方向性注視

2014.09.06

地域を見つめて=松本市四賀の会田病院、診療所へ転換案も 地域医療の在り方は? 方向性注視
2014.09.05 信濃毎日新聞



 松本市四賀地区の会田病院をめぐって近年、利用者減と経営悪化で、病床を廃止・削減した診療所への転換案も浮上している。

2013年度決算では、赤字が05年4月の合併で旧四賀村から松本市に運営が移行して以降最大の4300万円余りとなるなど、経営改善が求められているためだ。医療関係者や住民代表などでつくる検討委員会が病院の方向性について協議を重ねており、10月にも市に提言書を提出する予定。

過疎化が進む四賀地区唯一の医療機関として、持続可能な運営体制が打ち出されるのか、地元住民も注視している。

   (河野理子)

 「頻繁に利用するわけではないが、いざという時に病院は心強い。病床を残してもらえれば安心」。2日午後、会田病院の介護療養病床で入院している母親(94)の様子を見に来た四賀地区の女性(66)は、病院の存在意義をこう話した。

 会田病院は旧会田村と旧中川村の組合立病院として1950(昭和25)年に開院。

その後、旧四賀村時代の85年に、現在の市四賀支所近くで建て替えられた。

診療科目は、内科、外科、リハビリテーション科で、一般病床11、主に介護に重点を置いた介護療養病床20の計31床。利用者の大半が四賀地区の住民だ。

 同地区の人口は8月1日現在4957人で、05年4月から1113人減少。
病院利用者数も減少傾向が続き、13年度は入院利用が延べ7730人、外来利用が延べ1万1137人で5年間でいずれも25~30%ほど減った。

06度年以降、10、11年度を除き、決算は赤字になっている。

 病院経営改善に向け、市は昨年12月、市医師会や地元住民の代表など12人でつくる「会田病院あり方検討委員会」(百瀬英司委員長)を設置。

経営や利用状況、住民へのアンケートを分析し、医師確保や病床数などについての検討を開始した。

地元住民の声を把握するために3月に実施したアンケート(四賀地区の1651世帯が対象で回収率76・0%)で、最近1年間で医療機関を受診した7割以上が会田病院以外の医療機関を利用。会田病院を利用しなかった理由は「かかりたい診療科がない」「希望の診療日・時間が合わない」などがあった。

 こうした状況に、会田病院の征矢(そや)深志事務長は「利用者が減って積極的な投資ができなくなり、信頼とサービスが落ち、さらに利用者が減る。悪循環に陥っている」と危機感を募らせる。

 かつては耳鼻咽喉科や産婦人科、小児科などもあったが、医師確保が難しくなり廃止。

現在、常勤医は外科と内科を担当する病院長1人で、信大病院などから内科医師の派遣を受け、診療科を維持している。

過去には医師派遣が一時中止されたこともあるため、検討委では他病院と連携し、医師確保を探るべきだとの意見も出ている。

 経営改善に病院の形態変更も視野に入っている。13年度の一般病床の利用率は33・3%と低く、介護療養病床は国が廃止方針を示している。

検討委では病床を廃止・削減し、19床以下の診療所への転換案も出ているが、病床がなくなることに住民から不安の声もある。

 検討委事務局も務める征矢事務長は「地域に何が必要で、何ができるか。小さな病院として一つ一つ見極めていく必要がある」と、今後の議論のあり方をとらえている。