重粒子線がん治療装置研究棟完成 山形大、海外売り込み検討

2014.08.08

重粒子線がん治療装置研究棟完成 山形大、海外売り込み検討
2014.8.5 産経新聞
 
山形大学医学部(山下英俊学部長)が進めている重粒子線によるがん治療施設の導入で、重粒子線がん治療装置研究棟が山形市の同学部に完成し、4日、開所式が行われた。
医学・工学の連携により施設を大幅にコンパクト化し、海外への売り込みにもつなげようというのが同大の計画の特徴で、研究棟の完成は計画を加速させるものとして期待を集めている。

 重粒子線治療は、X線ではなく炭素イオンを光速の70%近くまで加速し、患部に照射することによってがん腫瘍(しゅよう)を狙い撃ちにする方法。
日本で開発された治療法で、体に優しく治療効果が高いという特性がある半面、設備が大がかりで多額の費用がかかる難点があるとされる。

 平成16年から導入に取り組んでいる山形大では、従来型の施設の改良を進め、(1)省エネルギー(2)省スペース(3)廃棄物削減(4)運転管理の容易化-によって「エコ型・総合病院接続型」施設を開発し、世界最先端の山形モデルにすることを目指している。

 研究棟はその中核を担う施設であり、このような理工学系の研究施設を医学部内に建設したのは極めて珍しいケースという。四極電磁石、偏向電磁石、二極四極結合型超伝導磁石などを備えており、他の研究機関から結集したスタッフが研究開発に当たる。

計画の中心的役割を果たしてきた嘉山孝正・学長特別補佐は「研究棟の開所の意義は大きいが、まだスタート地点。今後が大切」と気を引き締めていた。

 重粒子線がん治療は現在、千葉、群馬、兵庫、佐賀の4カ所で行われており、神奈川県内でも施設を建設中。山形、大阪、沖縄の3カ所では計画段階で、山形大では31年10月の治療開始を目指している。

 東北・北海道では初で、建設費は約150億円。同大は国から割り当てられる予算以外の約50億円は寄付などで確保するとして、県や市町村、企業などの支援を求めている。開所式には吉村美栄子知事らが出席し、テープカットして祝った。