プライドの高い医師を変える「院是」唱和の効果

2014.07.28

プライドの高い医師を変える「院是」唱和の効果

総合南東北病院
 
PRESIDENT 2010年10月18日号
著者 野地 秩嘉

病院で朝礼を定期的にやっているところは決して多くない。
日夜、休まず医療活動に従事しているから、多くの職員を1カ所に集めることが難しいのだ。

だが、福島県郡山市にある総合南東北病院では、職員がそれぞれやりくりをして、毎週月曜日の朝8時30分には講堂に集まって朝礼を行う。
病院が開設された30年前から、朝礼だけは欠かさず実施しているという。

総合病院グループを一代で築いた渡邉一夫理事長。夏祭りなどの職員参加型イベントも積極的に企画。


理事長で医学博士の渡邉一夫氏は、始めたきっかけをこう語る。

「病院をつくったとき、先輩の医師から、『医療はチームワークだ、仲間と話し合うためにも朝礼をやれ』と言われました。
週に1度ですが、続けているうちにチームワークがよくなり、医師、看護師の考え方が変わってきました」

医師、看護師のような国家資格を持つ専門技術者は、えてしてプライドが高い。
朝礼や院是の唱和といった単純なセレモニーをバカにするところがある。
しかし、最初は恥ずかしそうに出席していた医師が進んで唱和するようになるなど、次第に姿勢が変わってきた。

それに伴い患者への対応も微妙に変化した。「うちでは居丈高にふるまう医師、看護師はいません。自分の口で『すべては患者さんのために』と宣誓していることが、じわーっと効いてきたんでしょう」(渡邉理事長)。

こうして同病院は患者サービスを第一に考える病院になった。ただし渡邉氏の目指す医療サービスとは待ち時間を減らすといった単純なことではない。

「待ち時間を減らすには診療時間を短縮すればいい。

しかしそれでは充分な医療とは言えません。適切な診療を追求していく限り、待ち時間が多少、長くなるのはやむをえない。
ただし、医師は長く待った患者さんが納得できるような説明をしなくてはなりません」

患者第一の医療サービスとは、待ち時間を減らすことではなく、患者の苦しみ、痛みを取り去ることなのだ。