社説/医療・介護法成立/地域の受け皿拡大に努めよ/高齢者の負担増懸念/補助の在り方検討を

2014.07.13

社説/医療・介護法成立/地域の受け皿拡大に努めよ/高齢者の負担増懸念/補助の在り方検討を
2014.07.11 宮崎日日新聞 



 介護保険や医療提供体制を見直す地域医療・介護総合確保推進法が成立した。

2000年4月に介護保険制度が始まって以来、初めて65歳以上の自己負担割合を1割から2割に引き上げ、全国一律の介護サービスを市町村に委ねた。

医療ではリハビリテーション的な病院を増やし、症状が安定した患者がスムーズに自宅や介護施設へ移れるよう目指す。

高齢者の負担増懸念

 社会保障財源が先細る中、公的保険制度を維持するためにやむを得ない措置だが、国は地域に合った医療と介護の連携の在り方を探り、成功事例を集め全国に普及させてほしい。

 団塊の世代の高齢化が進み、25年時点で75歳以上は2千万人を超え、総人口の5分の1に迫る。
この頃には、介護サービスなどの需要が一気に高まるのは必至だ。高齢者の増加に比例してサービスを増やすことは困難といえる。

 自己負担が2割に引き上げられるのは一定所得以上の対象者で、年金収入で年280万円以上の人を想定するが、水準が曖昧だとの指摘がある。
資産などの状況も考慮して公平な線引きが必要だ。

 比較的介護の必要性が軽い要支援の認定者に対する訪問介護とデイサービスは来春から段階的に市町村事業に移行する。

地域によってサービスにばらつきが生じる上、高齢者の負担増が懸念される。
国は最低限守るべきルールや指針を示し、市町村が混乱しないよう早期に手を打つべきだ。

 特別養護老人ホーム(特養)への新たな入居者を15年4月から原則、自宅では負担が重い要介護3以上に限る。入所希望者は50万人を超える人気ぶりだ。

 国はこれまで特養から医療を遠ざけてきた。施設内は「生活の場」だからという理由で医務室を外そうとした動きがあった。
外からの往診は、原則末期がん患者などを除いて認めておらず、現場で混乱が相次いだ。
国は特養に重度化対応を迫るのであれば、今後、医療体制の在り方を明確に打ち出すことが求められよう。

補助の在り方検討を

 医療分野は、医療費がかさむ病棟を減らし、リハビリ的な病棟の充実を図る。
国の最終目標は、将来病院は入院治療だけに専念し、症状が安定した患者は、なるべく在宅医療と介護で対応することを目指している。

 在宅サービスで鍵となるのは市町村にある医師会という。医師には介護職員やケアマネジャー、NPOなどの他業種との協働が求められる。
医師不足で医療崩壊といったことになれば本末転倒だ。

 介護職に痰(たん)の吸引や経管栄養の処置を認める法改正が行われたように、医師から看護職員へ、看護職から介護職へと医療補助の在り方も検討するべきだ。

 国には、地域の受け皿拡大のため特養に相部屋整備を認めるなど柔軟に取り組んでもらいたい