医学部の新設について 宮城県知事記者会見

2014.07.09

医学部の新設について
宮城県知事記者会見(平成26年7月7日)

◆Q
 7月4日に文科省(文部科学省)で医学部設置に係る構想審査会のヒアリングが行われた。
あらためて、そこで説明したこと、聞かれたこと、そして知事として県立大方式での医学部設置について説明した手応えを教えてほしい。

■村井知事
 三つありました。まず説明したことですが、この宮城大学医学部の特徴はどこにあるのかということであります。
一番強調いたしました点は、今までの80校ある医学部というのは、大学のキャンパスの中に(病床が)600床以上ある付属病院が、フルセット型で全てがそろっていて、いわば教員も学生もキャンパスの中で、付属病院の中で全て教育ができるという形になっております。
しかし、これからの医学部はそうあるべきではない(と思います)。
地域にあるいろいろな医療資源を使って教員がスキルアップし、また学生も出ていって研修し、地域全体で学生を育てていくという医学部にするべきだというお話をさせていただきました。

従って、「最初から600床のフルスペック型の付属病院を造って患者の取り合いをする。
また学生や教員が外に一歩も出ていけないという医学部にするべきではないのではないでしょうか」というお話をさせていただきました。
 

また、県立医学部にする最大の理由を申し上げました。今言ったような医学部を作るためには、東北のいろいろな自治体や自治体病院、また民間の病院も含めて調整をしていかなければなりません。

こういったようなもののノウハウや信頼関係があるのは何といっても行政でございますので、私が今言ったような医学部を達成するためには公立の医学部のほうがいいというお話をさせていただいたということでございます。
 
一番質問されたことは、「地元に果たして(卒業生が)定着するでしょうか」というお話をされました。その点については二つ申し上げました。
 
まず一つは、宮城県の場合は、60人の学生を全員同じ環境で勉強してもらい、卒業後も同じ形で自治体病院に派遣することになります。

また、学生がスキルアップするためのいろいろなシステムを作っていきますけれども、それも同じ条件でやります。
つまり同じ釜の飯を食べた学生が同じような行動を取るということです。
これは私立大学では経営面から見てもなかなか難しいのではないでしょうかというお話をさせていただきました。
 もう一つは思い出したら後ほどしゃべります。ごめんなさい。
 

それから、手応えですけれども、これはやってみないと分かりません。
5月30日に文科省に出した構想がありましたが、県の構想では当初600床の病院を栗原に造るというお話をしておりました。

しかし、その後、まだ決まっておりませんけれども、医学部長候補をはじめ医療関係者の皆さん、また宮城大学の関係者といろいろ話しているうちに、やはりそういうフルスペック型の病院を造るような医学部にすべきでないという話をしましたので、今回のヒアリングでは、5月30日から約1カ月たって、県としてその点についてはかじを切っております。

それについて文科省がどう判断するのかというのは私には分かりません。
構想を出してきた内容と違うのではないかということで県が落とされることもあるかもしれません。

しかし、私は県立の大学医学部としてやはり目指すべき理想の姿というものを追求すべきではないかということであります。

当落も重要でもちろん合格するということが最優先ですが、やはり魂を失わないようにしながら、宮城県立の医学部を選んでもらえるように努力をしていきたいと考えているということでございます。

◆Q
 国のほうで600床という基準がある中で、何百床の病院を整備する方針にかじを切ったということなのか。

■村井知事
 まだ決めていません。言いたいことは、最初から600床ありきではないということです。

その600床というのは、平成3年にもう廃止になった国の医学部設置のための基準なのですね。
ですから、それにこだわる必要はないと思っております。
ただ、今、栗原中央病院は300床ありますが、この300床でいいのかというとそれも分かりません。
つまり、60人を教育するために600床分のベッドが要るということですので、もし仮に300床ならば、残り300床のしっかりと教育できるベッドが付近の病院だとか大学とかにあって、協力してもらえるのかどうかということをしっかりと詰めていかなければいけないということですね。
 
従って、最初から「何百床のベッド」からスタートするのではなくて、しっかり地域で教育するためには、「地域でどういう施設、どういう医療機関があって、どう協力をしていただいて、それによって学生の教育がしっかりできるのだ。

その結果、600床からその数を引いていって残りが何百床になるので、この病床数でやりたい。
地域全体で教育できるのだ」というようなことを私は主張していくべきだと思っています。
だから、最初から何百床ありきということでは決してないということですね。

◆Q
 当初の構想からかじを切ったということだが、ベッドの数も減るということで、事業費の見積もり等の変更などもあるのか。

■村井知事
 結果的には、これは詰めていかないと分からないです。
可能性はあります。ただ、何度も言いますように、決めるのは国です。
「600床をキャンパスの中に造るのが、もう大前提なのだ。
そこで教育をするような医学部でないと認めない」ということであれば、残念ながら宮城大学医学部は認められないということになるかもしれないですよね。

◆Q
 医療関係者などと話してそのようにかじを切ったということだが、理由をもう少し具体的に説明してほしい。

■村井知事
 これからの医学部のあり方はどうあるべきかという理想論を、当然いろいろ話し合いいたしました。

その中で、やはり総合診療医を育てなければなりません。
総合診療医を育てるような医学部というのは、できてはきているのですが、なかなか難しいそうです。
それはなぜかというと、大学というのはやはり専門医の先生方が集まって教育をしていますので、総合医の教育をしようと思ってもなかなか難しいそうです。
ですから、そういった教員を集めるのではなくて、そういった素晴らしい地域医療をしている病院がたくさん宮城県にもございますよね。

小さな診療所でも、(例えば)石巻の診療所には、長(純一)先生がおられますよね。
そういったところに学生が行って、実際研修をするということのほうが、付属病院の立派な中で教育をするよりもよっぽど総合診療医を育てるためにいいということですね。
 それから、先ほどの答えも思い出しまして、今の答えと併せて答えます。

先ほどの質問で、「どうやって地元に定着をさせるのか」ということについて、一つは「同じ釜の飯を食べる」とお話ししましたね。

もう一つ私がお話ししたのは、「宮城県は大学の中で学生を教育するのではなくて、どんどん外に出していって、教員も学生も外で勉強してもらい、あるいは先生方もスキルアップしてもらうということを考えている。

つまり、宮城県の大学ですけれども、東北全体に出ていって実際に研修をして、勉強してもらうということを考えている。

そうすることによって、医師免許を取る前の若いうちから、それぞれの地域に出ていって、その地域の良いところ、悪いところを見てもらいたい。

そして地元の人と触れ合ってもらいたい。なぜ下北(半島)に、なぜ竜飛崎に、なぜ秋田の山奥に病院が必要なのか。

自分たちは本当に求められているのだということをその現場に行って学ぶような大学を作るべきではないか。
そうすることによって地元に定着をさせたい、させることになるのではないか。
それで同じ釜の飯を食べて同じ苦労をさせるのだ。
そういうやり方をすると私は地元に残ってもらえると思う。
だから、一つのキャンパスに閉じ込めるような医学教育というのを私はやめたいのだ」ということを強く強調いたしました。
 今の質問の答えにもなりますけれども、そこが私が一番伝えたかったことであり、聞かれたことに対する答えであります。ただ、だから手応えはより不透明になりましたね。

◆Q
 5月30日にその構想を出して、その前にも東北福祉大学が降りたりして激変しながら県が「県立医学部(設立)へ」ということを出した経緯がある。
構想からさらに1か月ぐらいたって、またちょっと考え方が変わってきているので、一貫性という意味ではいかがか。

■村井知事
 そうですね。そこがやはり「どうなっているのだ」と言われるかもしれません。
ただ、理解していただきたいのは、5月30日に出す本当に直前に意思決定をした(ので)、そのときにはこういった議論をする暇もなかったのですね。

従って、まずは最低限の決められた基準に基づいて申請せざるを得なかったということです。
その後、ヒアリングをしていただけるということでありますので、そのヒアリングに向けて内部で(検討し)、そしていろいろな先生方にお話を聞き、宮城大学とも話をした結果、この考え方が一番われわれとして理想とする医学部だという結論に達しましたので、それをヒアリングの際にしっかりと主張させていただいたということです。
 だから、当然1校に選ばれることは最優先ではあるのですけれども、そこにあまりにも拘泥するがあまり、魂を失ってしまってはいけないなと私は思いまして、あえてそういう発言をさせていただいたということです。

これはもう賭けですけれどもね。それを文科省が認めてくれるかどうか。
認めてくれなかったら、「何を言っているのだ。アウト」ということになる。それだけの懐の深さが文科省にあるかどうか見てみたいと思います。

◆Q
 栗原キャンパス構想として、扇の要である栗原を拠点とすることについては変わりはないのか。

■村井知事
 当然そうです。栗原を中心にします。

◆Q
 栗原中央病院の300床というのがまず基本にあるということか。

■村井知事
 はい。

◆Q
 それで、循呼センター(県立循環器・呼吸器病センタ-)の150床と、残り150床を新設するという構想だったと思うが、そこを見直すということか。

■村井知事
 そういうことです。

◆Q
 キャンパス一体型という、そんなに離れていないところで一体的にキャンパスを設けるというところを重視していたように思えるが、そこは大丈夫なのか。国の判断(次第)ということか。

■村井知事
 分からないです。国はあくまでも「これは一つの基準です」というふうに言っていますので、「こうでなければならない」ということは決して言っていません。

ただ、宮城県は今回のヒアリングに臨むに当たってそのようにかじを切ったということです。

それは正直、ヒアリングの際に私の10分間のプレゼンの中でお話をさせていただいたつもりでありますし、質問に対しての答えにもなりました。

例えば質問の中で、「600床で果たして経営が成り立つのですか」という質問もあったものですから、「600床では経営が成り立たないと思います。
間違いなく大赤字になると思います。
先ほど言ったように、地域全体で(医師を育てる)ということになって、病床数を少ないところからスタートできて、必要なら多くすればいいわけです。

できれば(認められれば)、そういった経営面でもプラスになるかもしれません」というお話をしました。
 
ただし、病院経営がありきで病床数を少なくするということでは決してありません。
目的は、何度も言うように、地域全体で学生を育てていくのだと(いうことです)。
それが地元の地域への定着にもつながっていくという発想から、大学の医学部、あるいは病院といったようなものと協力できるかということをしっかり詰めた上で、病床数がどれくらい確保できるのか、全体としてスリム化できるかどうかというのを検討します。

もし皆さんが協力できないということだったら、600床の病院を造るということも十分あり得るということですよね。

◆Q
 地域一体で学生を育てていくという医療機関の範囲としては、どのあたりまでを想定しているのか。

■村井知事
 これも文科省との調整ですけれども、多少時間がかかっても、私はやはり東北全体で考えるべきだと思いますね。

それが、青森に行ったり秋田に行ったり福島に行く動機付けになるのではないかなと思うのですよ。

お金で釣ろうとしても、一千万や二千万ぐらいのお金でしたら、別の医療機関が「それぐらいのお金出すからうちにおいで」となっちゃうのですね。

やはりモチベーションを高く持ってもらえるような教育をしないと、お金だけでは私は釣れないと思います。縛り続けることは無理だと思いますね。

ちょっとお金持ちだったらそれぐらいすっと出してしまいますからね。
ですから、お金でも縛りますけれども、お金で縛るだけではなくて、やはりそういった学生の気持ちに、琴線に触れるような教育をぜひしたいなと思っていまして、そこを強く強調しました。だから(審査の結果)「だめだ」と言われるかもしれません。でも、私はそういう医学部を作らないとこれからの日本の医療はだめになると思います。
 
新しい医学部を作らなくてはだめですよ。今、80校(医学部が)あるのですけれども、80番目の学校があって、81番目の同じ大学を作る意味が私は全くないと思います。

実は、その前(今回のヒアリングの前)に(6月16日に行われた)1回目の構想審査会がありましたよね。この構想審査会で、委員の先生方(の中で)、やはり同じようなことを発言された方もおられまして、より意を強くしてそういう発言をさせていただきました。

やはりここではっきり言っておかないと、うやむやにして、仮に宮城に決まった後にそういうことを言ったら、「いや、君は言っていることが全然違うじゃないか。
決まった途端に何を言っているのだ。だめだ」というふうになるのが嫌なのです。
だからもうはっきりと言って、それがだめならばもう宮城県はアウト(ということです)。それはもう覚悟します。その責任は私にあります。

◆Q
 かじを切った理由に総合診療医を作るための前向きな理由を挙げていたが、その他に大きな病院ができることへの懸念などの声があった面はなかったのか。

■村井知事
 それは後から(考えて)、「それに対する対応もできるな」という思いはあります。
つまり、600床になりますと、まずやはり経営を考えなければいけません。赤字になるといったら(予想されたら)、赤字にならないようにしなければいけませんので、今よりも300床分患者を集めなければいけないということです。

それでなくとも周りはなかなか病院の経営が厳しいところばかりですから、当然良い先生方が集まればそこにどんどん患者さんが集まって、周りの病院が疲弊してしまう(かもしれません)。

要は患者の奪い合いになってしまうということですね。それも非常に危惧しておりました。それから、やはり「医師の引き抜きはしない」とはいっても、スタート時はそうなったとしても、やはりだんだん周りからそういった形で患者が集まらなくなってくると、医者が周りから減っていってしまいます。
 

今回のように、医者も学生も外に出ていき、教員も外に出ていって勉強しながら、スキルアップをしながら教育をしていくというシステムになれば、医師不足の解消にも協力できると思うのですね。

そういう先生方が行って1週間でも2週間でも1か月でも勉強する、研究する、実習をするということになれば、それも地域のためになるだろうと思います。

そして県にとってもそうなると負担が軽くなりますから、まさに三方良しになるのではないかなと思っています。

その分、いろいろな調整が必要になってきますので、調整は非常に大変だと思います。
これは残念ながら私立大学ではできないと私は思うのですよ。

宮城県の場合、このシステムを作りましたならば、宮城大学医学部がやりますが、いろいろな自治体との調整だとか、あるいは病院間の調整というのは、これは県がしっかりとお手伝いができるということです。

やはり県の力があればできますけれども、一私立大学でこれをやるというのは、私は無理だと思いますね。
やはりフルセット型の、キャンパス中心型の医学部を作らざるを得なくなるだろうなと思います。
そこがやはり宮城県にとっての非常に強みだと思いますので、やはりこういったものは、自分にとって一番強い部分を強調すると同時に、宮城にしかできない理想を求めるということを今回は強く強調したということです。

◆Q
 かじを切る前に、地域医療者から「地域医療が疲弊してしまう」といった声はなかったのか。

■村井知事
 ありません。どちらかというとみんなウエルカム(歓迎)ですよね。
ウエルカムですけれども、やはり病院関係者は皆さん、「どうなのかな」というふうに心配をされているでしょうね。
みんなで、「医学部ができたおかげで地域が良くなった、東北全体が良くなった」と思ってもらえるように、

私はやはり共存共栄を目指していくべきだと思います。学生も、「宮城大学医学部に入ったがゆえに、自分はこういう地域医療を担って自分は良い人生を送った」と思ってもらえるような医学部をぜひ作りたいなと思うのです。
誰かが犠牲になって、誰かが歯を食いしばってということであってはならないと思うのですね。そもそも人の幸せのためにある医学部ですからね。

◆Q
 かじを切る決断をしたのはいつなのか、
日にちを分かる限り教えてほしい。
また、栗原中央病院の300床以外の、基準だと残り300ということになるが、それを地域医療の現場に求めるということかと思う。
それは、例えば二次医療圏の中核病院もあるし、それこそ診療所のような医療機関もあるが、どの程度(の規模)の医療機関を想定しているのか。

■村井知事
 これは私の一存で決めることではなくて、文科省が首を縦に振らなければいけないのですけれども、私は小さな診療所でもいいのではないかなと思っています。

ただ、それが認められるかどうかは分からないです。先ほど言った、地域包括ケアを一生懸命頑張っている石巻の診療所といったところに、今、卒業した医学生がみんな研修に来ているのですよ。

24時間頑張っておられます。そういったところに学生のうちから行って研修を積むというのは、私は非常に重要だと思います。認められればですけれども。認められなければできません。
 それから、いつ決断したかということですが、これは直近ですね。何月何日とまではお話しできませんが、医学部に携わるいろいろな方とお話をし、協議をして、こういう方針でいこうということを決めました。

◆Q
 県議会終了前か、終了後か。

■村井知事
 意思決定をしたのは終了後です。終了前からいろいろ話はしておりましたが、意思決定をしたのは終了後です。
本当に時間のない中で、議会をやりながら、走りながらだったので大変だったのです。

◆Q
 知事の構想の中の学生の受け入れ先だが、ある程度の目星は付いているのか。

■村井知事
 ありません。

◆Q
 これから多分交渉に入るかと思うが、仮に(宮城大学医学部に)決まった後、受け入れ先を見つけるのも難航しそうな気がするが、その点に関してはいかがか。

■村井知事
 いや、そんなことないと思いますよ。みんな人を育てるということには生きがいを感じると思います。
当然、関連教育病院になるぐらいの仙台医療センターとか、あるいは大崎市民病院などは非常に力のある病院ですので、私はお願いをすれば協力してくれるものというふうに期待はしております。
まだ調整はしておりませんが、人を育てるというのは大切なことですからね。

◆Q
 医師不足の解消という視点以外に、栗原市にしてみると、600床の大きな、最先端の病院ができることへの期待感があったと思うが、そこに対する栗原市の納得感があるのかどうかが一つ。
また、一つの臨床成果を得るための労力という点では、例えば病院などを往復したりなどというデメリットも当然出てくると思うが、そのデメリットに関してはどのように考えるか。

■村井知事
 栗原市の(佐藤勇)市長さんのほうには、昨日(6日)、ヒアリングが終わりましたので、「こういう経緯です」というお話をさせていただきました。
その中で、「私としてはこういう考え方を持って臨むので、必ずしも600床にならないかもしれません。
600床になるかもしれませんが、ならないかもしれません。
それは、栗原市の中心部だけが大きくなるのではなくて、周り全体で学生を育てていくという考え方なので、ぜひ理解をしてほしい」というお話をしましたところ、「それはよく分かっている。
キャンパスは栗原に置くのだね」ということ(を栗原市長がお話になったの)で、「キャンパスは置きます。ただ、病院をそんな数にこだわる必要はないと私は思っ
ています」と言ったら、「分かった」ということでした。
 
それから、デメリットはありますね。非常に大変だと思います。学生は足(交通手段)がないと思いますので、それをどうやって行ったり来たりさせるのかは難しいと思いますけれども、これは、当然、こういうことが認められれば、県としてもいろいろ検討しながら足の不便さがないような形にしていきたいと思っています。
 
デメリットは、あと調整をする時間、労力(など)、いろいろありますけれども、結果として地域全体で育てているのだという意識が高まれば、「われわれの医学部」になると思うのですよね。東北のいろいろな自治体病院に行って働いていけば「東北全体の医学部」となりますので、非常に私は有意義だと思いますね。
 
あともう一つ、研究機器とか医療機器が非常に高額なのです。
基礎医学の先生方にやはり来ていただいて講義していただかなければだめなのですが、あの栗原の地に行って研究してもらうためには、相当高価な機器をどんどん入れなければいけないのですが、残念ながら今の県の財政からして次から次へと良い機器を入れることはできません。

しかし、宮城県内にはそういった研究機器もたくさんあるのですね。そういったようなものを、宮城大学、栗原キャンパスではなくて、例えばがんの基礎医学の教員は(宮城県立)がんセンターに行って自分の基礎医学の研究をしていただく。
(循環器の教員は、)循環器の得意なところ(大学・病院)に行って、そういった機器を使って研究をする。
あるいは東北大学の機器を使わせていただいてもいいのではないでしょうか。
自分の大学で囲いを持つのではなくて、みんなでやればそれだけ経費が抑えられるということですから。
そして、同じような成果が出せればいいわけなので、講義をするときだけ栗原に来ていただいて講義をする(という形でも)、私はいいと思うのです。
 
そういう柔軟性を持った医学部を作ることによって、みんなが喜ぶような、医師も派遣されて医師不足の解消にもなり、そして患者の奪い合いにならない、そして医師のスキルアップにもなり、学生たちもいろいろな地域に出ていって勉強することによって、その地域の良さも悪さも分かって、自分がいかに求められているのかということがよく分かる。

お茶を飲んでお漬物を食べて東北の文化、歴史を知る。それが地元の定着にもつながると思いますので、そういう医学部を私は作るべきではないかという、その魂は絶対に失いたくないと(いうことです)。

(設置認可を)取るために文科省の基準に無理に合わせる必要はないというように思いまして、そこをヒアリング等でも言わせていただいたということなのです。その結果、だめになるかもしれません。

それはいいではないですか。どうせやるなら81番目の医学部ではなくて、夢のある1番目の医学部を作りたいなと思いますね