(街はできたが 鎌ケ谷市長選を前に:下)小児救急、他市頼み /千葉県

2014.06.28

(街はできたが 鎌ケ谷市長選を前に:下)小児救急、他市頼み /千葉県
2014.06.27 朝日新聞



 6月上旬の朝、鎌ケ谷市の新京成初富駅に近い新興住宅街の戸建てに、子どもを抱えた母親たちがやってきた。
英語絵本の読み聞かせを習う集まりだ。準備中の母親(38)に抱かれた長男(2)が突然、けいれんを始めた。

 「大丈夫、大丈夫」と抱きしめる母親。数分して落ち着くと「ごめん、今日は病院に行く」と家主に告げ、その場を去った。

 7年前に都内から同市に転入、県外の実家でお産をし、鎌ケ谷に戻って子育てをする。
3月の土曜早朝にもけいれんを起こし、救急車を呼んだ。
救急隊員は「土曜日のため、市内の受け入れ先はありません」。十数分かけて船橋市の病院に向かい、1日入院の治療を受けた。

 また同じ症状。母親は自家用車で同じ病院に行き、今回は2泊3日の入院になった。
「安心して育てるには、いつでもみてもらえる病院が地元に必要です」

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 子育て世代の転入増を目指す市は、待機児童対策に力を入れる。
市立保育園の定員増や新たな私立保育園の誘致で今年度999人だった定員を来年度は1089人にする。待機児童はゼロになる計算だ。

 小学3年生までだった通院医療費助成も4月から中学3年生まで拡大。0歳児からの育児相談などに応じる「つどいの広場」も2カ所から5カ所に増やす。

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 その一方で、小児救急の医療態勢づくりが遅れている。2012、13両年度、15歳以下の急病救急患者はいずれも200人を超えた。
このうち数人を残し、小児二次救急ネットワーク協定を締結している船橋市や、松戸市など市外に運ばれた。

 市内に小児科がある病院、医院はあるが、常駐医不足などで早朝、深夜を問わない急患の受け入れが困難なのだ。

 市は、県保健医療計画で配分された248床を使って、新鎌ケ谷駅近くに徳洲会グループの鎌ケ谷総合病院を誘致し、05年10月に「24時間対応可能な小児救急を始めとする救急診療」の協定を結んだ。

 2年後に開院した同病院の外来患者は月約2万人。年に5千人近い市内の救急搬送患者の半数近くを受け入れるなど地域医療に貢献する。
だが、7年経った今も、24時間対応の小児救急は実現していない。

 救急対応に10人以上の常勤の小児科医が必要とされるが、今のところ、確保できたのは2人。
急患は同じグループの千葉西総合病院(松戸市)と連携して対応する。
千葉西は13年度、鎌ケ谷市内15歳以下の救急搬送患者229人のうち、4割近い87人を受け入れた。

 鎌ケ谷総合病院は「常勤医の夕方診療を実施するなど、少しずつでも協定に近づいている。
いつになればという約束をするまでには至らないが、実現する努力をしている」という。

 同病院との協議会で、機会あるごとに協定実現を求める北村真一副市長は「小児救急を他市に頼る現状は都市ブランドを高めることにならない。
医療施設を全国展開しているグループ。
地域バランスをみながら要員を確保していただくなど、実効性ある協議をする時期に来た」という。(佐々木和彦)