(医・再発見)県医療の未来:4 救急医療も少子高齢化へ対応

2014.06.19

(医・再発見)県医療の未来:4 救急医療も少子高齢化へ対応 大木実さん /福岡県
2014.06.18 朝日新聞



 県内で救急車が出動した回数は年々増え、2008年に約18万6千人だった搬送者の数は昨年、約21万6千人に達しました。

高齢者の搬送が増えたことが原因と考えられます。

ますます少子高齢化が進む時代にあって、県内の救急医療体制のあり方をどうするかが重要な課題になっています。

 とはいえ、休日や夜間にけがをしたり、病気にかかったりした時に受診する急患診療センターや当番医、より症状が重い場合にかかる救命救急センターなど県内の救急医療体制は、全国と比べても比較的充実しています。

 例えば、当番医は各地で輪番制が決まっていて、急患診療センターも含め、休日や夜間でも1次救急体制の医療機関が見つからないことはほぼないでしょう。

これらは地域医療を支える各地の医師会活動の最たるものです。

 その日の当番医を知りたい時も、県救急医療情報センター(092・471・0099)が、受診できる医療機関を24時間いつでも教えてくれます。

県医師会は小児救急の電話相談窓口(#8000番)も設けていて、午後7時から午前7時まで、子どもの病気やケガの手当て、受診の必要性について相談に乗っています(医療行為の相談には対応できません)。

 より症状が重い場合にかかる2次救急体制の医療機関も県内に144あり、3次救急体制の救急救命センターは県内4地域に8カ所あります。

国の指針は、人口100万人に対して1カ所の3次救急拠点を求めていますが、県内は60万人に1カ所と充実しています。

 また、12年前より久留米大病院を拠点として、ドクターヘリも運航されています。

交通の便が悪い地域などの患者をいち早く収容し、機内で救命処置をしながら、病院へ搬送できます。

県内だけでなく大分県などを往復することもあり、ほぼ毎日飛んでいます。

 私が県医師会の理事になって救急を担当することになった10年前、救急医療の状況に驚きました。

福岡市や北九州市といった都市部に医療機関が集中し、そのほかの地域とあまりに差があると感じたのです。

もちろん、人口が多ければ救急医療の必要性も高くなりますが、人口が少なくても救急医療はなくてはなりません。

 今後ますます人口が減って高齢化が進むと、都市部以外の地域への対応が求められます。

在宅で医療や介護を受けている患者さんがいざという時にすぐ救急医療を受けられるよう、県医師会は、病歴や飲んでいる薬の情報を医療機関が共有化できる診療情報ネットワーク「とびうめネット」を運用し始めました。

こうしたソフト・ハードの両面を充実させ、さらに効率よく救急診療ができる体制を整えていきたいと考えています。

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 県医師会常任理事(67歳) 東京医科大卒。九州大医学部整形外科を経て、大木整形・リハビリ医院(福岡市)院長。県警察医会理事、福岡市医師会理事などを経て県医師会常任理事。