病院建設、財源に苦慮 被災自治体、工事費高騰ずしり

2014.06.18

河北新報ONLINE NEWS.2014年06月08日


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病院建設、財源に苦慮 被災自治体、工事費高騰ずしり
 

石巻市立病院の建設が計画される駐車場。左はJR石巻駅、右奥は市役所
 
 東日本大震災で全壊するなどした病院の建設を計画する被災自治体が、資材や労務費の高騰に頭を痛めている。

宮城県石巻市は市立病院の再建費が5月の実施設計で当初の2倍に跳ね上がり、開院までのスケジュールに暗雲が立ちこめる。

宮城県内では南三陸町や気仙沼市も同様の問題に直面。被災地の医療再生は喫緊の課題で、国や県に新たな財政支援を求めている。
 

津波で被災した石巻市立病院はJR石巻駅前に移転再建される。7階建て、延べ床面積約2万4000平方メートルで、6診療科に180床を設ける。

市は昨年の基本設計で建設費を概算で約70億円と想定し、財源に県の地域医療再生基金を当て込んでいた。
 
実施設計で積算したところ、建設費は約140億円に。基本設計と施設に大きな変更はない。

天井を低くしたり2階以上を鉄骨に替えたりとコスト削減を図ったが2倍に膨らんだ。

市は「基本設計は同規模病院の実績などを参考にした。資材や電気設備の価格上昇に加え、職人の人件費などが急騰した」と説明する。
 市は市議会6月定例会に関連議案を提出し、入札を経て夏ごろに着工したい考え。

増額分の財源はめどが立たず、2016年7月予定の開院がずれ込む恐れも出ている。
 

南三陸町は被災した公立志津川病院に代わり、「南三陸病院・総合ケアセンター(仮称)」を新築する。5月の入札は約52億円で落札された。7月ごろに着工し、15年度後半の完成を見込む。
 契約には「インフレスライド条項」が盛り込まれた。着工後に工事価格が上昇した場合、町は差額を業者に支払う。町は「東京五輪関連の工事が始まり、工事費は倍になる可能性もある」と不安をのぞかせる。
 

気仙沼市は17年度の開院を目指し、老朽化した市立病院の移転新築を進める。

現時点の予算は約210億円。建設費高騰などを見越した市は昨年度、当初より約16億円増額したが、2月の入札は不調に終わった。
 建設費は地域医療再生基金など122億円に加え、市の病院事業債と合併特例債で賄う。

市は2度目の入札に向けて設計変更しているが、病院機能を縮小することはできず、見直しは限定的になるとみられる。
 現状では、建設費の増大が起債額にはね返る。

市は「上積みは避けられないが、財政状況から市単独で全てを負担するのは難しい」と明かす。
 
国や県に対し、個別に要望活動をしてきた3自治体は今後、連携して財政支援の拡充を求めていく方針。

石巻市の担当者は「開院の遅れは市民生活にしわ寄せが及ぶ。建設費の高騰は被災地全体の問題。実情に沿った支援策を講じてほしい」と訴える。