(探 現場から)加古川市長・市議選:下 市民病院統合 最新設備、活用策は

2014.06.16

(探 現場から)加古川市長・市議選:下 市民病院統合 最新設備、活用策は/兵庫県
2014.06.14 朝日新聞



 加古川市中心部の造成地で3月中旬、2016年秋に開院予定の「加古川中央市民病院」(仮称)の起工式が開かれた。

総事業費は約230億円。完成すれば診療科28、病床数600床と県内有数の規模を誇る新病院が誕生する。

 新たな病院は、加古川東市民病院(旧神鋼加古川病院)と加古川西市民病院(旧加古川市民病院)が統合する形で、4年前に市が計画した。きっかけは、04年度に導入された臨床研修制度。

新卒医師が研修先を選べるようになって都市部の病院に集まり、地方の医師不足が深刻になった。

 旧市民病院でも04年に14人いた内科医が激減していく。
5年後には内科医が2人に減って外来診療を制限する事態に陥り、病院は存続の危機にひんした。

 そこで市が医師確保策の切り札として計画したのが、建物の老朽化が進んでいた旧神鋼加古川病院との統合だった。

循環器系で知られた旧神鋼病院と小児科・産婦人科が充実した旧市民病院が一体となって診療体制を充実させ、神戸大から医師を派遣してもらう狙いもあった。

 効果はすぐに現れた。西市民病院の内科医は21人に増えた。両病院の研修医も9人と増加傾向にある。

現在は両病院スタッフの3分の1を人事交流させたり、共通の電子カルテを作ったり、統合に向けた土台作りが進む。

新病院を運営する加古川市民病院機構の宇高功理事長(66)は「新病院は地域医療を支える拠点になる」と力を込める。

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 だが一方で、市が抱える課題がある。新病院の開設後、「廃院」となる予定の両病院の残された施設の活用策だ。

 新病院の建設地から北西約2キロにある西市民病院には、最新の手術室を備えた中央診療棟がある。

手術室の老朽化で、約61億円かけて6年前の08年に建設された。東市民病院も統合計画が発表された後の12年、「医療の充実」(市担当者)を理由に約3億円を投じて増改築し、最新のCT装置などを導入したばかりだ。

 新病院建設については市民の中に反対する声もある。市民団体「2つの市民病院を守る会」は3月までに、両市民病院の存続を求める約3万人の署名を市に提出した。
「東西の市民病院がなくなれば、中央診療棟などへの投資が無駄になる」などと主張する。

 樽本庄一市長(73)は3月の市議会で、西市民病院は「休日診療の定点化(休日診療所)としての活用を検討している」と述べた。

 東播磨2市2町の軽症患者の休日夜間診療は、加古川医師会と高砂市医師会が協力している。夜間の内・小児科は、医師を派遣して加古川夜間急病センターで担っている。

 日曜祝日は、両医師会の100超の外・内・小児科の民間病院が交代で担当するが、加古川医師会によると、中には患者が殺到すると対応が困難な病院もあるという。
患者側もどの病院が当番か毎回調べる必要がある。医師会担当者は「外科の設備も備えた休日夜間診療所の開設は悲願」と樽本市長の方針を歓迎する。

 ただ、「診療所の開設となれば、中央診療棟の改修など新たな費用負担が生じる。市民の理解を得る必要がある」と市幹部の一人は懸念を隠さない。