治療の選択肢広げる混合診療の拡充を

2014.06.10

治療の選択肢広げる混合診療の拡充を
2014/5/25(社説日本経済新聞)



 政府は、健康保険が使える保険診療と、保険が利かない自由診療を一連の治療の中で組み合わせる「混合診療」の拡大を検討している。患者の選択肢を広げる措置であり、具体化を急ぐべきだ。

 現在、混合診療は原則として禁止されている。
保険診療は安全性・有効性が確認された治療であるのに対して、自由診療はそれらが保証されていないことなどが理由だ。実施した場合は、一連の治療全体が自由診療とみなされ、本来は保険が利く診療部分も含めて治療費が全額患者負担となる。

 この仕組みのままでは、海外では使われているのに日本ではまだ承認されていない医薬品や治療法など先進的な医療技術を患者が受けにくい。

 そこで政府は、例外的に混合診療が実施できる制度も設けている。専門家の会議が安全性・有効性をチェックした治療法については、実施できる医療機関も限定した上で認める仕組みだ。
しかし、このやり方でも個々の患者の希望に迅速にこたえられず、使い勝手が悪いとして、政府の規制改革会議が改革案を示した。

 それによると、医師と患者が合意して実施する自由診療について、専門家組織が安全性などを即座に調べ、広く混合診療として実施できるようにするという。

 自由診療部分について審査する時間の短縮や、実施できる医療機関の拡大は患者の利便性向上につながる。
政府はこの案に沿って着実に改革を進めてもらいたい。

 ただ、難病やがんの患者団体からは新しい仕組みについての懸念も出ている。医師と患者の合意といっても患者には十分な医療知識もなく、医師のいいなりに不確かな治療法を受けることになるといった不安だ。

こうした点には目配りしつつ、混合診療拡充の是非とは別に、あやしげな自由診療の取り締まりを進める必要もある。

 安全性・有効性がきちんと確認された治療法であれば、そもそも混合診療という形ではなく、すべて保険が利くようにするのが理想だ。
とはいえ高齢化で医療費が増え続ける中で、すべてを健康保険で賄う財政的な余裕はない。

 新たに開発される治療法などについて、どこまでを保険適用にし、どこからは保険外にするかといった議論は避けて通れない。
費用対効果の観点からこのルールを作る検討も始まっている。しっかりと議論すべきだ